新年あけましておめでとうございます。
当院は5日から診療をはじめているのですが、お正月中にお餅を食べてつめ物や被せものが取れてしまったり、痛みが出てしまった方が急患で沢山おみえになり、今週はてんてこまいの状態でした。
今年はいったいどのような年になるのでしょうか?
ありきたりですが、良い年になって欲しいですね。
さて、健康歯孝講座の始まりです。
手術の技術
一般的な歯科の外科手術(抜歯や歯槽膿漏の手術)が、感染したものを取り去る事が主なのに対して、清潔な状態の部位に清潔なもの(インプラント体)を埋め込む手術であるという事がインプラントの手術の大きな特徴といえます。
その為に、手術する部位の感染のコントロールや、手術のテクニックも異なっています。
まず、インプラント手術は、その手術によって出来たキズが治る時に、周りの骨が、インプラント体をとりこむことで、インプラント体と骨がくっつく事を目的としています。
その為には可能な限り治り易い状態にしてあげるべきですよね。
非侵襲的(可能な限りダメージを与えない様)に、きれいな環境で、行なう事が大切な事はもちろん、それに加え、オーバーヒートの問題が取り上げられています。
オーバーヒートという言葉は、車に詳しい方ならご存知ですよね。過熱(必要以上に熱くなる事)です。インプラントの手術では手術部位である顎の骨に、インプラント体を埋め込む為に直径3ミリ前後の穴をあける必要があります。その時に発熱が起こってしまうのです。この発熱をコントロールしないと、オーバーヒートにより顎の骨にダメージを与えてしまい、インプラント体と骨がくっつかない事があるのです。実際にスウェーデンの研究で、ドリルで穴をあける事で起こる過熱により骨が50℃になると一瞬でもだめ、47℃では一分間が限界44℃では数分間でも大丈夫という事が解っており、なおかつ適切な機器を使用し充分な注水下ではドリル先端は34℃にコントロール出来る事が解っています。(いやあしかし細部にわたって研究されていますよね)
そこで、私達は、手術中にオーバーヒートを起こさない為に以下の様な事を注意しています。
オーバーヒートを防ぐ為に
切れない刃は使わない→手術に使用するドリル等は全て新品、ディスポーザブル製品を使用する。
速すぎるスピードはだめ→インプラント専用に特別に開発された精密な手術機器を使用しゆっくりした回転(2000rpm以下)を保って手術する
手のブレが起こってはいけない→精密な手術機器使用する、確実な手技でおこなう、手術野(手術する部位)を確保する為に必要十分なスタッフで手術を行なう。
一気に太いもので削らない→段階的に穴を広げていく様に考えられたシステムを用いる
注水不足を防ぐ→充分なスタッフの確保し、安全確実な手術を行なう。