前回Albrektsson(アルブレクトソン先生)の名前がまた出てきましたね。インプラントにかかわる基礎医学では第一人者といえる先生です。実は、アルブレクトソン先生は去年の秋に講演のため来日され、東京で、特別に少人数の歯科医師を対象に講義をしてくださいました。
幸運にも私も呼んでもらえ、古賀先生と一緒に写真を撮らせて頂きました。
この時の講義も基礎医学に基づいた有意義なお話をきくことができました。
さて、今話題のライブドアーの件もそうですが、最近は物事があまりにも速く安直にそしてコマーシャリズムって言うのでしょうか利益追求主義だけで、進んでしまっている気がしてなりません。
速い事、便利な事そしてすぐ儲かることそれが全て? 本当にそれだけで良いのでしょうか?携帯電話、インターネットの普及で便利になった、あるいは起業して利益を出して豊かになろうといいながら、私達の生活は本当に豊かになっているでしょうか?
私には便利なものや、あふれる情報に振り回されているように思えてなりません。
商業主義に振り回され、利益を上げる事だけがもてはやされ、成功、起業して儲けるという事ばかりが話題になり、その象徴の様な存在として堀江氏がいたのではないでしょうか。
何故、この様な事を書いたのかというと、この現象がインプラントの世界にも波及していると思えるからです。
今までにも書いた様に、ブローネマルクシステムは開発と基礎研究に10年以上を費やしそして私達の臨床に応用されました。その結果として、現在でも世界で一番信頼出来るインプラントシステムとよばれています。
ところが最近は、例えばインプラント開発製造に携わる企業が、起業買収され、ある大きな資本のもとで運営される様になったとたん、新たな製品が矢継ぎ早に開発、販売される様になってしまった。
どう考えても開発と基礎研究に充分な期間がかけられているとは言えず、結果現在その製品の中の一部に問題があるのではないかということで、海外のことではありますが、国家規模で調査が始まったり、その他のメーカーにしても、開発と基礎研究に充分な期間がかけられているとは言えない製品が発表され市場に出回ってしまっている様です。
これは利益追求を急ぐあまりの結果として、起こってしまっているのではないのでしょうか。もしそうなら大変残念です。
私は一臨床医にすぎず、このような世の中の流れに対して、何が出来るわけではないですが、私達の医院の患者さんに対しては、開発と基礎研究に充分な期間がかけられていない様な製品を安易に臨床応用する事だけはしない様に努めなければならないと思っています。
そうでもしないと、患者さんに対する治療を実験にしかねませんね。
ただし、古いもの、歴史あるものにこだわり続けては、新たな進歩はありえませんよね。
ここが難しいところです。新たなものをどう取り入れていくかが問題ですね。
今私達が出来ることは、新たなものが開発されたとしても、すぐには飛びつかず、有る程度のデータが出揃ったところで導入するよう心がけることだと思っています。
ありきたりな言葉ですが、私達は「患者さんの立場にたった歯科医療」を実践していきたいと思っています。
今回の様なお話も3月の健康歯孝講座でもお話しさせて頂こうと思っています。
ご興味がおありの方は、ぜひいらしてください。