皆さんこんにちは。トリノオリンピックも終わり、明日からいよいよ3月ですね。3月といえば花粉症の季節、憂鬱な方も多いのではないでしょうか。僕もその一人です。外へ出るにもマスクが欠かせません。目も鼻もかゆくなり辛い時期ですね。薬を飲もうにも、たくさん種類がありすぎて何が効果があるのかわからないですし、鼻は楽になるけどすごく眠たくなる薬もあり一長一短です。
さて本題に入りますが、花粉症の薬同様に私達が現在取り上げているインプラントにも利点と欠点があります。今回はインプラントの利点と欠点についてお話しします。
『万能な治療は存在しません。』
こんな事を宣言してしまうと、不安に思われてしまいますね。
ただ、どんな治療を行なう時も、その治療の利点・欠点を充分に理解する事が大切です。
ここでは、インプラント治療の利点・欠点について考えられる代表的なものを挙げてみました。
☆インプラント治療の利点
(1)ご自分の歯のように、違和感なく噛む事ができる。
(2)まわりの歯にダメージを与えずに治療ができる。
たとえば、歯を失った時に考えられる治療として、インプラント以外にブリッジや義歯があります。これらを簡単に比較してみましょう。
ブリッジは固定式である為、装着しても違和感があまりなく、また、人工の歯の材料を選択する事により天然歯と遜色のない審美的な修復が可能です。しかし下の写真からもわかるように、ブリッジを支え固定する為に、たとえ健康な場合でも両隣の歯を削らなくてはなりません。
義歯は、ブリッジのように健全な歯を削らずに補えます。
両脇の歯にバネ(金具)をかけて固定する為、取り外しが出来、手入れも簡単ですが、構造的に外れ易く違和感もあります。両脇の歯への負担は大きく、噛む力も健康な状態に比べて30%〜40%位に減少してしまいます。また、義歯を装着する場所によっては、バネ(金具)が見えてしまう為、審美的な面で問題があります。
以上からもわかるように、健全歯に何の影響も与えずに治療ができ、ご自身の歯と同じように噛める唯一の治療がインプラントです。
★ インプラントの欠点
(1)外科的処置を伴う
(2)治療に期間を要する
(3)保険診療対象外のため、費用がかかる。
(4)定期的なメインテナンスを受けなくてはならない。
インプラントは何年もつのか?といった質問をよく受けます。10年位でダメになってしまうのではと不安に思われる方が多いようです。
インプラントは衛生管理の行き届いた環境下で手術を行ない、定期的にメインテナンスを行なえば10年以上持ちます。前々回のテーマ『色々なインプラントシステム』でご案内しましたが、今から約40年前にブローネマルク教授が最初に埋入したインプラントが、現在も患者様のお口の中で機能しています。
しかし、この事が欠点となることもあります。
何だろう?と思われましたか?
それは、「5年〜10年の間でダメになりそうなご自身の歯(抜かなくてはならない可能性のある歯)より、インプラントの方がはるかに長持ちすることがある」という事です。私達はなるべく患者様の歯を残していきたいと思います。しかし、あらかじめダメになりそうな歯を抜いてインプラントを埋入する事があります。ご自身の歯を抜く(失う)のは嫌ですよね。
どこからどこまでの範囲で歯を保存していくのか、インプラントにするのか、判断が難しくなるのです。
インプラントの利点・欠点を簡単に挙げてみましたが、どう思われましたか?
どんな治療を行なうにしても、それに伴う利点・欠点を十分に理解する必要があると最初にお話しました。
しかし、その全てが全患者様にあてはまるとは限りません。ご自身のお口の現状を知り、生活習慣などを踏まえた上で、最善の治療を検討する事が大切ですね。
次回は「インプラント治療の疑問や不安」についてお届けしたいと思います。