上顎のインプラントは難しいのではないか?という質問もよくいただきます。
インプラント(ブローネマルクシステム)は、下顎の歯が一本もない人に対して始めは行なわれていました。それが上手く行く事が立証され始め、患者さん側からの要求と医療者側の要求に基づき部分的に歯が無い人や上顎に歯が無い人に対してもインプラントが行なわれる様になり様々な事が検証され現在に至っているわけです。その中には様々なトライアンドエラーがあり、現在ではほとんどの症例に対して行なえる治療となっています。
その為現在では、上顎だから手術が難しいという事はありません。
しかし、往々にして上顎の場合、インプラントを入れたいところの骨の量が、深さや厚さが足りない場合が多のです。
それでもインプラントをしていくとするならば、そこに骨を移植する必要が出てきます。この移植は全ての症例で可能なわけではなく、簡単に出来るものでもありません。移植後の成功率も文献によっては多少低くなるというものもあります。そして、以前にもお話ししましたが、インプラントの成功と喫煙の関係についても様々な研究がある様ですが、現時点では喫煙と通常のインプラント手術の術後の成功率には強い因果関係は認められない様ですが、移植を伴う様なインプラント手術の場合喫煙者の成功率は明らかに下がってしまう様です。
また、目や脳に近いから心配だというお話も時々お聞きしますが今回の図をご覧いただければお解りの通り、インプラントを埋め込む場所と目や脳の間には、大きな空洞(上顎洞といいます)があり、インプラントが直接目や脳にふれてしまうという事は、考えられませんのでご安心下さい。