師走に入り、何かと忙しいこの季節。読者の皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
先日、昭和中期を題材にした映画を拝見しました。家電製品が普及しはじめ、白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機が三種の神器として扱われた昭和30年代の話でした。人々は貧しくても、心が豊かでした。今や、日本はとても豊かな国であり、さまざまな生活便利グッズや使い捨てグッズなど、物が過剰に溢れていますが、心が貧しくなってきているような気がします。(そういえば、忙しいという字は心を亡くすと書くのですよね。)
ところで、テレビや雑誌で栄養補助食品を見ない日はないくらい、栄養補助食品(サプリメント)は私たちの生活に馴染みのあるものになってきました。忙しい毎日、食事も不規則になりがちです。栄養の偏りをサプリメントで補おうと、多種多様なサプリメントがコンビニの棚にまで陳列されています。ご承知のとおり、日本は世界有数の長寿国ですが、現在、日本のご高齢の方たちの若い頃には、サプリメントなどという物はなく、日々の食生活で栄養を補っていました。ところが、近年では、食生活を見直さずに栄養に偏りがあったり栄養が足りないと感じると、手軽なサプリメントに頼る傾向にあるのではないでしょうか? お口のケアにおいても似たような傾向があるように感じられます。
例えば、フッ素。
フッ素には、歯質を強化し、むし歯の原因菌が出す酸の産生を抑制するなど、むし歯予防に効果があります。(むし歯の原因菌は食事のたびに酸を産生して歯を溶かすのです)
むし歯予防のためのフッ素の使用方法としては、
※フッ化物の液体やジェルを歯に塗布する方法
※フッ化物の水溶液で洗口する方法
※フッ化物を配合した歯磨剤を使用する方法
などいくつかの方法があります。むし歯予防としてフッ素を用いる場合、歯科医の指導のもと正しくその方法が行なわれる限り、安全性について問題はありません。
確かにフッ素はむし歯予防に効果がありますが、フッ素を使っているからといって、むし歯が100%予防できるわけではありません。むし歯予防をフッ素にばかり頼っていませんか?
まずは、自分の日常生活を振り返り、むし歯になりやすい環境を自分で作っていないかを考えてみてください。