前回お話しした通りレントゲンは歯や骨の検査として行われます。その時に使用するフィルムの大きさや撮影装置によって、いくつかの撮影方法がありますが、当院ではインプラント治療を行うにあたって、主に三種類のレントゲン検査(それぞれデンタル、パノラマ、CTと呼ばれます)を行っています。今回はこのレントゲン検査についてお話しします。
まずは「デンタル」です。
デンタルはマッチ箱サイズの小さなフィルムを使って撮影します。当院に初めていらした方はまずお口の中を細かく診査して全体的に把握する事から治療をはじめて行きます。この全体的なチェックのためにデンタルを最大14枚撮影しますデンタルでは個々の歯について詳しくみることができます。写し出される歯の形や被せ物・詰め物、歯を支えている歯の周りにある骨の状態などから虫歯や歯周病などの病気を正確にチェックして治療が必要な歯をピックアップする事が出来ます。
しかし残念ながらこのデンタルでは顎の骨全体をみることが出来ません。
そこで撮影されるのが「パノラマ」というレントゲン写真です。
パノラマはA4サイズくらいの横長の大きなフィルムを用います。撮影には頭の周りを装置がぐるりと回る大きな機械を使います。そこで得られる写真では上顎、下顎の状態が一目で分かり、顎の関節や骨の奥に埋もれている歯などデンタルでは見えかったモノも見ることが出来ます。しかしデンタルのように個々の歯の詳細まではわかりません。パノラマはインプラント治療において顎の骨の全体像を把握するためには欠かせない検査です。
このようにデンタルは個々の歯の状態を、パノラマは顎全体の骨の状態を検査するために有効です。
普段行われている歯科治療であればこの二つの検査で十分ですが、インプラント治療を行う上では十分とはいえません。これらのレントゲン写真は立体的なものを一方向から写し出したものなので、その高さや長さはわかりますが奥行きに関しては写し出す事が出来ないのです。たとえば、普通のレントゲンは、ビルを屋上の真上から見ている様なもので、建物の上から見た外形は分かりますが、そのビルが何階建てなのかが分かりません。つまりデンタルやパノラマでは骨がしっかりとあるようにみえる場所でも別な角度からみるとその厚みがなく実は骨が十分になかったりすることもあるのです。
このためインプラント治療を確実にするためには立体的に骨の状態を把握する必要があります。とくに上顎の骨は構造が複雑なのでしっかりとした診断が欠かせません。そのために受けていただくレントゲン検査が「CT」と呼ばれるものです。
CT(Computed Tomography)は医科においての検査で耳にされることが多いかと思います。脳や内臓、骨などを三次元的にみることができる検査なのですが、詳しくは次回にお話します。