院内ツアーも今回で最後になります。ラストを飾るのは、『ウォッシャーディスインフェクター』です。以前のブログ「歯科衛生士のインプラント歳時記」でもご紹介させて頂いておりますが、今回はもう少し詳しくお話させてください。
歯科診療では、外科処置だけでなく一般の診療でも、治療器具に感染の原因となる血液や唾液が多く付着します。この感染の原因を次の患者さんに持ち込まないようにするために、洗浄・消毒・滅菌という工程が重要になります。ウォッシャーディスインフェクターは、その中でもとても大切な、洗浄と消毒を行ってくれる洗浄消毒器です。
洗浄とは、主に器具に付いた唾液や血液を洗ってきれいにすることをいいます。この洗浄がきちんとできていないと次の段階である消毒や滅菌は確実に行えません。感染の原因である血液や唾液がべっとりついたままの器具を、どんなに強い薬で消毒しても、どんなに優れた滅菌器で滅菌しても確実に消毒や滅菌はできません。そのため、第一段階である洗浄をきちんと行う必要があります。
その洗浄と消毒を行うのがウォッシャーディスインフェクターで、温水ジェットと酵素を使ってきれいにします。きれいにといっても目で見てきれいになるだけではありません。感染の原因になる、唾液や血液の主成分であるタンパク質を確実に分解し、器具の表面を消毒します。
では、下の写真を見て下さい。
左の器具には血液が付着しています。右上の器具は、左の血液の付着した器具を水洗して消毒液に浸けたものです。血液の赤い色素が無くなっているので、一見きれいになったように見えますが、よーく見てみると白く濁っています。この白く濁ったものが、血液の主成分であるタンパク質です。これが感染の原因になってしまいます。
右下の器具は、血液の付着した器具をそのままウォッシャーディスインフェクターで洗浄、消毒したものです。血液の成分はきちんと落とせています。また、汚染された器具をそのままウォッシャーディスインフェクターへ入れることができるので、私たち医療従事者への感染も防いでくれています。
このように、この器械を使用することで、確実な洗浄、消毒ができるようになり、また、私たちも安心して仕事をすることができます。
私たちは、患者さんから次の患者さんに感染物を持ち込ませないように、また、私たちを介して患者さんに感染させないように、日々考えて診療を行っています。
さて、今回で院内ツアーは終わりになります。いかがでしたでしょうか?受付やレントゲン室、診療室をはじめ、普段はなかなかみなさんにご紹介できない器材などをご紹介させて頂きました。先日、このブログも見て頂いている患者さんから、「いつも目にするあの器械、何のために使うものなのか気になっていたの、疑問がとけました!」とお言葉を頂きました。これからも、みなさんの疑問や不安に少しでもお答え出来ればと思っております。何かご要望等ございましたら、ご遠慮なく教えて下さい。お待ちしております。