前回は、インプラント体の埋入のお話しをしました。今回は、縫合についてお話しさせて頂きます。
縫合とは、切開した歯肉を元通りに戻すことが目的で、手術の傷跡(瘢痕)を可能な限り残さないため、歯肉を切開する前の状態に正確に戻すことが基本です。
インプラント手術の際は、埋入したインプラントが骨とくっつくまでの間、歯肉の中でしっかりと守る目的があります。そのため、縫合はインプラントを守るためにとても重要なのです。
縫合をすると手術は終わりますが、非常に細かい作業で、術者の技術に大きく関わっています。そのため、インプラント体の埋入と同じくらい時間がかかる時もあります。
縫合時に使う縫合針の形状は組織に対する侵襲が少ないものを選択します。インプラント手術の際の糸は、第一に感染を起こさないよう、汚れがつきにくいもの、後で緩みを起こしにくいものを準備し、切開の仕方によって最善のものを選択します。
手術後の出血を心配される方がいますが、確実に縫合するため、手術後に帰宅されてから「血が止まらずに困った」という方はいらっしゃらないのでご安心ください。
以前にお話した通り、患者様は静脈内鎮静法という麻酔をしているため、手術後、麻酔がきちんと覚めるまでお休み頂きます。麻酔の覚醒には個人差があり、手術後すぐに覚める方もいれば、1時間近くお休みになる方もいらっしゃいます。
その後、レントゲン撮影をし、埋入したインプラント体の状態を確認します。手術当日は、これですべて終わりです。
手術の翌日は来院していただき、手術をしたところの傷の治りを確認します。感染予防のため、この日から抜糸をするまで、消毒薬を使ったうがいを行なって頂きます。
手術後、10日から2週間後に抜糸を行います。糸をとる前に、糸の表面の消毒のため消毒薬でうがいをして頂き、抜糸をします。
以上が、1回目の手術の流れです。