答えは,「ほてつ」と読みます.実は歯科界の中で知らない人は一人もいませんが,一般の方々には残念ながらあまり認知されていない言葉のひとつです.(正解された方には失礼しました.)
広辞苑(第5版,岩波書店より)によれば,「ほてつ−ほてい ①破れた所などを,おぎないつづること.②詩文を作るのに古句などをつづり合わせること.」となっていますが,歯科治療では,「見た目やかみ合わせをクラウン(冠)や入れ歯(義歯)など人工の歯で補う治療法」のことをいいます.古くは紀元前2,000年〜1,000年のエトルリア人の墓地から発掘された入れ歯があります.日本でも奈良時代から入れ歯があったといわれています.江戸時代,柳生家では身分を隠すために,“お歯黒”の入れ歯があったとの記録もあり昔から行われてきた治療法といえます.さらに,現在当クリニックで実施している「インプラント治療」も「補綴」の最先端治療の一分野です.
「インプラント治療」が多くの患者さんに適応可能なのは事実ですが,様々な問題で総ての患者さんに適応できる訳ではありません.そこで,私(昭和大学歯学部高齢者歯科学教室・准教授)は,週一回(水曜日)に入れ歯(義歯)による治療を行うために,当クリニックで馬見塚院長と共同で診療にあたっています.
先週末にこの「補綴」の学会が名古屋で開催され,発表して来ました.117回を数える「日本補綴歯科学会」は日本の歯科関係の学会の中でも大変古い歴史があり,今回は韓国・中国との共同開催でした.四川大地震の直後でしたが,中国からも多数の方々が出席され活発な議論が行われました.
また,「日本補綴歯科学会」では専門医・指導医制度を確立しています.日本補綴歯科学会の専門医制度は,補綴歯科の専門的知識と技術,経験を持つ歯科医師により,この分野で高い水準の歯科医療を行って,保健福祉に貢献することを目的としています.この制度は,平成4年7月に認定医制度として発足して以来,13年の歴史があるものを,さらなる社会貢献をめざして,平成17年8月に専門医制度として改善し現在に至っています.私も専門医・指導医として登録されています.