東京都中央区の歯科医院で昨年5月、人工歯根を埋め込む「インプラント手術」を受けた女性=当時(70)=が手術中に大量出血し死亡した事件で、女性の遺族4人が歯科医院と男性院長を相手取り、約1億9000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしていたことが25日、分かった。一方、警視庁は業務上過失致死容疑での立件に向け、詰めの捜査を進めている。 インプラントは、歯茎からドリルで穴を開けてあごの骨に人工歯根を埋め込み、人工歯根に義歯を装着する外科手術。入れ歯に比べてかみ合わせがよく、見た目がきれいなことなどから、利用者が増えている。院長は、国内のインプラント手術の先駆者として知られる。 訴状などによると、女性は昨年5月22日、手術中に出血が止まらなくなり容体が急変。近くの総合病院に搬送されたが、すでに心肺停止状態で、翌23日に死亡した。司法解剖の結果、死因は口腔(こうこう)内の出血などによる窒息死と判明。ドリルであごの骨を貫通し、動脈を切断、大量出血していた。 遺族によると、院長は当日は体調不良だったといい、手術ミスを認めているが、和解に向けた話し合いが進展していない。遺族は「手術は、体調が万全な状態で行うべきだ。その後の対応にも誠意が感じられない」と話している。 歯科医院側は「訴状を見てから考えたい」としている。 |
上記がこの記事の全文となります。
昨年にも、この事件に関しての私見をこのブログに載せました。その時も今回と同じようにアクセス数が突然上がり、お問い合わせもいくつかいただきました。
まず、お話しさせていただきたいのは、このような記事が出たことに便乗しアクセス数を上げるためにこのようなブログを書いているのではないことを十分ご理解いただきたいと思います。
おそらく皆さんは、このような記事を読まれると、とても不安になってしまうと思うのです。そしてその後に様々な憶測が飛び交い、事実とそうでないことが入り混じってしまい、報道もそれに便乗し、あるいは助長し、ややもすれば事実を捻じ曲げてしまうことになりかねません。不安が不安を呼び、間違ったことにならないようにするためにこのブログがお役にたてばと思い今回もまたブログを書かせていただきました。
今日は、前置きが長くなりましたので、簡単に書かせていただきます。
今回、皆さんにご理解いただきたいことは、大変残念なことですが、このような事故は起こりえるということです。過去にも解剖学的に危険な部位であることは文献等で発表されています。
しかし、また逆を言えば、解剖学的なことを十分理解し、最近、注目されているフラップレス手術のようなことを避け、基本に準じた方法で手術を行えばこのような事故は、十分に防げるはずだということです。
これは、今回の事故が防げたと言っているのではありません。実際に起こったこの事故については、現時点ではいろいろな情報がありますが、私がそのことを判断できるわけではありません。
事故というのは、様々な要因から成すものであり、私が以前からお話ししているように、医療とは、実際には不確実なものなのであるということを前提に考えなければならないと思うのです。
一概に、報道されていることだけがすべてではありませんし、デバイスがかかってしまっている可能性が大きいと思います。ですから、今回の事故についての具体的な言及をしているのではありません。
しかし、だからといって、医療というものが不確実なことを前提に考えれば、事故が起きても仕方がないと言っているのでもありません。
う〜ん、自分でも少しまとまりがつかなくて、すみません。
ともかく、今回のブログでは、インプラント手術でこのような重大な事故が起こる可能性はあるということ、しかし、そのほとんどは我々医療者が注意すれば防げるのだ、ということをどうかご理解ください。
何か、ご不安なこと等がございましたらどうぞこのメールアドレスinfo@118.md
までご連絡ください。