また、テレビで歯科に関する放送がありました。実は私はほとんどテレビを見ないのです。このような情報を得るのは、ほとんどの場合スタッフが見ていてくれて、後でビデオ等で観させてもらっています。そのためタイムリーな反応ではないことをお許し下さい。
今回は、
2009
年
2
月
4
日放送の
NHK
ためしてガッテンの「緊急生放送! インフルエンザ最新対策」におけるインフルエンザ予防の為の口腔ケアについて
「東京都府中市にある介護保険施設で週
1
回、歯科衛生士が口腔ケアを実施し日頃からの丁寧な歯磨きや舌磨きの指導を行ったところ、インフルエンザの発症率が
10
分の
1
に激減した」というものがありました。
これは、とても素晴らしいことですね。そして、このことについては、私も同様の意見を持っています。
この番組で、放送されていましたが、
なぜ口の中をきれいにしておくと、インフルエンザにかかりにくくなるのでしょう?そのメカニズムは以下のように推定されているそうです。
鼻からのどにかけての粘膜はタンパク質の膜で覆われているため、ウイルスはなかなかくっつくことができないようになっています。
しかし、口の中にいる細菌が出す「プロテアーゼ」という酵素(タンパク質を壊すことができる物質)がタンパク質でできた膜を壊すことで、ウイルスが鼻からのどにかけての粘膜にくっついて、インフルエンザにかかってしまうと考えられます。
ですから、お口の中をきれい(細菌を減らす様)にすることで、鼻からのどの粘膜を覆っているタンパク質の膜を守ることが出来るのですね。
また、それ以外にもお口の中には、様々な細菌がいます。すべてが悪い細菌たちではないのですが、その中には、虫歯を引き起こすものや、歯周病の原因となるもの、そして、唾液に混じって気道に入り、特にご高齢の方や、体の抵抗力の落ちているような方の場合に、重症の肺炎(誤嚥性肺炎と呼ばれています)を引き起こす細菌なども多く住み着いています。
そのため、日常的に口の中をきれいにすることで、細菌を取り除いておくことが、様々な感染症を予防する対策として有効だといえます。
実は、この誤嚥性肺炎の予防の為に私たちは、在宅療養をされている方のところに訪問
http://www.118.md/c_sinryo_7.asp し、口腔ケアのお手伝いをしています。特に、ターミナルケアの方を中心に訪問させて頂いています。そのことで患者さんの
QOL
の維持、安定、向上に多少なりとも役立っているのではと考えています。
寝たきりになった患者さんに対し、口腔ケアを積極的に行うことで、誤嚥性肺炎を防ぐことができるということは様々な文献に掲載されています。厳密な言い方をすると口腔ケアと肺炎の因果関係はこれらの研究をもとにしても、強い関係があるとは言いにくいという考えもありますが、口腔ケアがゆきとどかないことは、それ以外にもさまざまな問題を引き起こす可能性はありますし、患者の
QOL
を考えると必要になることが多いと考えています。