2009年5月15日付けの朝日新聞に
親がタバコ吸うと子の歯ぐき真っ黒 岡山大チーム調査
という記事が掲載されていました。
今回もこの記事に関してのコメントを掲載します。記事を黒字で、私のコメントを赤字で掲載します。
父親など同居する家族に喫煙者がいると幼稚園児や小学生は虫歯になり易くなったり、歯肉が黒ずんだりする傾向のあることが、岡山大学の下野勉教授(行動小児歯科学)の研究チームの調査でわかった。
受動喫煙が影響している可能性があるという。14日から大阪で開催中の日本小児歯科学会で発表した。
調査は、幼稚園児85人と小学生166人の計251人を対象にした。その結果、幼稚園児の約3割(23人)、小学生の約3割(51人)で歯肉が黒ずんでいた。
このうち、約8割の幼稚園児19人、約7割の小学生37人は、父母など家族が喫煙者だった。
また、小学生の歯肉の黒ずみ度を調べてみたところ、健康な歯肉の児童でも家族の5割弱に喫煙者がいたが、最も黒ずみのひどい児童らのグループでは全家族に喫煙者がいた。
ということですが、実際に喫煙者自身の歯肉は黒ずんでしまうことが多いという研究は過去にも多く発表されています。外来でも、実感として喫煙者は歯肉が黒ずんでいることが多いのは確かです。しかし、受動喫煙でこのようなことが起こっているとしたらやはり問題ですね。また、喫煙は肺がん等のリスクを高めるだけでなく、歯周病の進行にも大きく関与しているといわれています。
また、虫歯になりやすくなっていることも示唆された。口の中の細菌の特徴から虫歯になる危険度を調べると、最も危険度の高いグループの6割は家族に喫煙者がいたが、低いグループでは4割にとどまっていた。
チームは、煙からの防御反応で歯肉が黒ずむのではないかとみている。また、たばこの煙によって唾液の量などが減り、虫歯の原因となるミュータンス菌が増えた疑いがあるという。
現段階では、この様な受動喫煙と虫歯の発症の因果関係ははっきりしないと思うのですが、ここで皆さんにご理解板きたいことがあります。それは唾液の量が減ることが、虫歯菌を増やしてしまったり、虫歯になりやすいい環境になってしまうといことなのです。何らかの事(病気、ストレス、服用薬等)が原因で唾液量が減ることがあります。それに伴い、虫歯は発症しやすくなってしまうのです。お口が渇くということは歯にとっても、問題なのです。
調査した岡崎好秀・岡山大講師は「まだ、因果関係ははっきりしないが、子供に悪影響を与えないためにも禁煙して欲しい」と話している。
受動喫煙は、虫歯云々の前に、けっしてよいことではありません。喫煙者の方は可能であれば禁煙をしていただくか、少なくともマナーを守って(相手は他人だけでなく家族に対しても)喫煙していただきたいものです。