さて、今までのダイエット等の数字から、もう少し医療に関する専門的な数字についてお話させてください。
ここ数年、医院、病院そして医者選びのための出版物、たとえば「病院ランキング」と称される本が多く出ています。
そのランキングをつけた理由として、用いられる数字があります。
たとえば、治療や手術の成功率や5年生存率、治癒率などです。
これらの数字は、いままでのダイエット食品等の広告と比べると、数字も詳細で、「真実味」というか「本当らしさ」を感じるように見えます。
でも、このような数字でも単に鵜呑みにせずに、注意深く見るべきポイントがあるんです。
たとえば、
A病院の胃がんの治療結果の5年生存率は93.5%、
B病院では5年生存率は80.3%
この数字をみるとおそらく多くの人が、A病院が安心だと思われるでしょうね。
しかし、本当にそうだといえるのでしょうか?
例えば、二つの病院が出したこの結果は、どのような患者さんを対象とした胃がん治療の成績なのでしょうか?
たとえば、単に胃がんの5年生存率といっても、その患者さんが診断を受けた時のがんの進行度、状態によって、その結果は、大きな開きが出てしまいます。
つまり、がんが進行した患者さんや難しい状態になった患者さんを多く受け入れている病院と、比較的早期に発見されたうえで、紹介されて来院され様な患者さんの多い病院とでは、その治療の生存率に違いが出る可能性があるますね。
また、手術が可能な患者さん(治療効果が認められるであろう患者さん)だけの治療成績だけを抜粋して、統計を取り、生存率を出していることもないとは言えないのです。
このような、対象者となる患者さんの偏りも、以前に述べた「バイアス」の一つになります。