前回は、誤嚥、そして緊急時の対応について少しお話ししましたが、このような緊急の対応をしないですむことが大切になります。
そのためには、患者さんと歯科医師が協力し合うことが大切なのです。
当たり前ではないかと思われることが大切なんですね。
では、今回の様な場合にそれが出来たか?というと、ほぼ不可能に近い状態ですよね。
小さなお子さんにとっては、転んだだけでも興奮しているはず、そしてさらに歯医者に連れていかれて、それで冷静になれるはずもありません。
泣き叫ぶのは当たり前ですね。
そして、泣き叫んでいるということはお口を使って激しく呼吸をしてしまっているわけです。
その状況でもし何かがお口の中に落ちれば、誤嚥する可能性はものすごく高くなってしまいます。
かなり危険な状態で治療をしなければならないわけです。
やはり、その時には親御さんの協力も必要になりますし、より多くスタッフの助けが必要となります。
そして、可能な限り最低限の処置にすることを本人それが無理なら、親御さんに理解してもらうことが大切なのかもしれませんね。
私達はプロという意識があるために、どうしてもちゃんと最後もまでやりとうそうとしがちですが、時と場合によっては、最低限の必要なことで終わらせなくてはいけないのかもしれませんね。
誰一人として自分がミスを犯そうと思って行動する人間はいないはずです。
そして、ミスは防げないことがあるということを前提に行動する事は、臆病になることではなく、勇気を持つということになるのではないでしょうか?
小さな不注意やミスが、大きな不幸を招いてしまうと言います。
歯科医療のほとんどは、直接的には命に関わることはありませんが、今回のことを含め、歯科の治療行為というものが場合によっては命を脅かしかねないということを、我々も、そして皆さんも、もう一度しっかりと認識する必要があると思います。