TV番組「仲居正広の怪しい本の集まる図書館」定番の都市伝説を徹底調査という番組で、
「虫歯で死ぬ?ということがある。」と放送されていた件についてお話している続きです。
前回は、この番組で、取り上げられた、「歯周病で歯を失うと痴呆になる?」についてでした。
結論として、
歯周病であろうと、虫歯であろうと歯を全て失うと痴呆になる確立が高くなる可能性があるといわれています。
それは、咀嚼することで、歯に伝わる刺激によって、脳血流量の減少を防ぐことが出来るといわれているからであり、
またそれを受け、歯が一本もない状態はアルツハイマー型痴呆と関連する項目に指定されているそうです。
アルツハイマー型痴呆の疫学調査によれば、いろいろな刺激(たとえば咬むという刺激)がなくなることが痴呆のリスク要因となっているということだそうです。
学習することや記憶するという能力の維持に、口から受ける刺激というものもある程度の役割を担っていると考えられているのです。
しかし、また一方では、噛むことで、歯につたわる直接的な刺激がなくなるだけで、痴呆になるわけではないことは確かで、歯を失うということは一つの要因に過ぎません。
咬むということは、顎の関節を動かすことになり、この関節の近くには脳への血流を補う部分やそれに関する筋肉があり、物を咬むことによって脳への血流が助けられます。
たとえるならば、歩くということで脚の大きな筋肉を使うことが、第二の心臓を動かすような働きとなりるといわれているのと同じようなことだといえるのではないでしょうか?
そのため、ものを良く咬むことは、脳の血流を増やすといわれています。
歯を失う事もひとつのマイナス要因なのかもしれませんが、それより、「咬まない」という事も影響するので、歯が全部あっても物をあまり咬まない現代人には、そのことを考えたほうが良いと思います。
そして今回は、歯周病菌と痴呆の関係についてです。
この番組では、歯周病になると、歯周病菌が血液の中に入り何らかの要因で、痴呆を引き起こしている可能性があるといっていましたが、これはまだほとんど証明はされていません。
2000年前後から、特にアメリカを中心として歯周病と全身疾患(心筋梗塞や早期低体重児出産、糖尿病等、)との因果関係があるのではないかということを示す研究が発表されるようになり、現在も研究はされています。
その中で、今その因果関係が強いのではないかと考えられているものは、糖尿病、早期低体重児出産、心筋梗塞、誤嚥性肺炎等があげられます。
今後研究が進めば、歯周病菌と痴呆との関係が本当にあるのかどうか?ももう少し明らかになると思いますが、現時点では何も証明はされていないのではないかと思います。
いずれにしても虫歯になることや歯周病になること、歯を失うことも、今回の痴呆や全身疾患(心筋梗塞や早期低体重児出産、糖尿病等、)との因果関係があろうが無かろうが、けして良いことではありません。
自分の歯を失わず、何でも良く噛んで楽しく食事をすることはQOLにとってとても大切なものであることは間違いありませんね。