訪問看護科の婦長 押川真喜子さんとの出会い
当院のHPがアップして約一週間がすぎました。驚く事に、もう既に何名かの方が、このブログを読んで頂いているようです。そのほとんどの方がおそらく当院に通院されている患者さんだと思います。そこで今回は、当院の医療理念である健康創造型歯科医療(予防を中心とした歯科医療)を導入し始めたきっかけについて書かせて頂きます。
開業した当初は治療中心で、早期発見・早期治療型医療に疑問があったわけでもありませんでした。現在の健康創造型歯科医療を始めるきっかけは、在宅訪問歯科診療でした。
隣接する聖路加国際病院の訪問看護科の婦長さん 押川真喜子さん(ご存知の方も多いと思いますが、今は時の人ですよね。訪問看護の第一人者で、すてきな本も書いています。良かったら読んでみて下さい。感動しますよ。本の題名は、「在宅で死ぬということ」、 「訪問看護婦だからできること」という2冊です。 )が患者さんとして、通院していたことがきっかけで私達は訪問看護のお手伝いをさせて頂く事となりました。
在宅訪問看護を受けている方へ在宅訪問歯科診療を始めることになり、初日にお伺いした患者さんの口腔を診たことが、全てのはじまりです。当時の私には、24才の青年の口腔の状態が、このようになっているなど想像することも出来ませんでした。殆どの治療済み歯がことごとく崩壊し、かろうじて下顎の前歯の一部が健全な状態で残っています。私はこの時、「私が毎日外来にておこなっている治療が、いずれ患者さんの状態によっては、このようになってしまう」と言うことを知らされ愕然としました。
在宅訪問看護を受けているという状況で、様々なケアーがうけられるはずの現代社会で、口腔ケアーが不充分なために、このように崩壊してしまう事を知らされ、自分が最善と思っておこなっている治療も、ケアーが不十分な状況下ではあまりに無力だと知り、私は予防を導入しようと思ったのです。
この後、訪問で様々な方の治療やケアーをしていく事で、私の気持ちはよりいっそう強いものになっていきました。
健康な歯を守る事がいかに大切なのかを思い知らされました。
この事がきっかけで、当院は健康創造型歯科医療を造り上げていく様になりました。
治療中心から予防中心にするということは、私達にとって大変換であり、大きなパラダイムシフトなわけですから、それを成功に導く為には強いリーダーシップとスタッフの協力が必要です。
予防を導入しようと決意した私が、まずはじめにおこなったのは、ミーティングです。その場で自分の考え、思いをスタッフに伝えることでした。真剣な気持ちは必ずスタッフに伝わるものですし、人は気持ちでしか動いてはくれません。
予防に限らず、何かをはじめ、それを確実に展開していくにはミーティングは重要です。これに充分な時間をかけ、院内の全員が同じ考えを持てるようにすることが、大切です。当院では、週に2回、火曜、木曜のお昼休みを30分延長し、約1時間程度、定例のミーティングと勉強会をおこなっています。だから、馬見塚DCの診療時間は変則的なのです。すみません。
しかし、刃を研ぐ時間を惜しんで、刃物を使い続けても、効率はあがりませんし、自動車やオートバイは給油の時間を惜しんで走り続けることが出来ないように、スタッフ全員の充分な理解なしに、新しいプロジェクトの成功は望めません。
しかし、幸運にもわたしの周りには素晴らしいスタッフがいてくれすぐに私の気持ちを理解してくれました。そのおかげで、私達の目指す健康創造型歯科医療は日々充実し,成長しています。