前回は、インプラント治療における、禁忌症についてお話ししました。今回は、禁忌症と反対の意味である『適応症』についてです。適応とは「ある環境、その他の条件にそのものの調子がうまくあうこと」をいいます。(日常使う言葉で、適応能力という言葉も同じ意味です。)
適応症のなかにも、絶対的適応症と相対的適応症の2つがあります。インプラントにおけるこの2つの言葉の説明について、例をあげてご説明します。
絶対的適応症:インプラントができる全ての条件(骨の状態、健康状態、経済面、患者さんの精神面など)が揃っている、かつ他に治療法がない症例。つまりインプラント治療を拒む理由が1つもない症例。
相対的適応症:インプラントの他にもいくつか治療方法があり、他と比較させて、治療法を選択する症例。
例えば、インプラントが可能な全ての条件をクリアしていても、患者さんご自身の希望が他の方法だとしたのならば、これは絶対的適応症ではありません。
また、患者さんはインプラントを希望していても、お身体に病気があり、担当医師に手術はできませんと止められたら、もちろん手術はできません。
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私たちの説明が患者さんに伝わっていない、または説明していなければ、正しい情報を患者さんは得られません。たとえインプラント治療の絶対的適応症にあてはまる患者さんがいたとしても、またインプラントが最善だとしても、患者さんはインプラント治療を知らずに他の方法を選択するでしょう。
インプラントに関してだけでなく、私たち医療従事者は、患者さんが選択できるように正しい情報を与え、かつアドバイスをすることができなくてはなりません。そして患者さんは、その治療を受けることの利益と不利益を考えて、治療方法を選択すべきなのです。選択をする時は、利益にばかり目がいきがちで、情報を出す側もその利点ばかりを強調しすぎている節があります。もちろん得られる利益も大切ですが、そのために引き起こされる可能性のある不利益にも注目すべきではないでしょうか?
この不利益なら自分は受け入れられると思う治療を選択するこで、後でこんなはずじゃなかった、、、と後悔することは少なくなると思います。
来週のブログは、インプラント班がお盆休みを頂いている為、お休みさせて頂きます。尚、診療は暦通り行っております。
では、再来週のブログを楽しみにしていてください☆