本日も、前回に引き続きインプラント外科治療に伴う偶発症、特に死亡事故に至る様なものについてのお話です。
止血が困難になってしまう事
皆さんが、歯を抜いたりお口の手術(インプラント等)をお受けになるとき、一番に心配されるのが出血の問題だと思います。
時々、「歯を抜いた後だけ血が止まり難かった。」というお話を伺う事があるのですが、これはどうしてでしょう?
なにか特別な事が起こってしまっていると思われやすいのですが、実は多くの場合は簡単なことで、実はほとんど血はとまっているのだけれど、カサブタの表面が唾液に溶かされ、その唾液が赤くなり血が止まっていないように感じてしまわれている場合が多いのです。身体を流れている血は全て同じで、お口の中だけ別の固まりにくい血が流れているわけではありません。ですから日常で怪我をされたときにちゃんと血が止まる方ならば、基本的に血液に止まる能力はありますからほとんど心配いりません。
しかし、慢性の歯周病で、歯がグラグラになるまで放っておいた様な場合、その歯を抜く事はとても容易い事なのですが、止血しにくい場合があります。それは、慢性の歯周病の様な場合、その歯の回りの歯ぐきが常に炎症を起こしてしまっていて、沢山の毛細血管が出来てしまっている事が多いのです。そうすると、量は多くはないのですが、にじむ様な出血がいつまでも続いてしまう事があります。この様な場合は、歯を抜いた時に、歯の回りの歯ぐきをしっかりと掻爬してあげる事が大切です。そうする事で、ほとんどの場合問題がなくなります。
またその他の場合でも、たとえ太い血管を傷つけないとしても出血が止まらない場合があります、その多くの場合が、何らかの病気(狭心症、脳血管疾患等)があり、血をとまりにくくする薬あるいは、血をサラサラにする薬を服用飲されている場合です。この様な場合は、止血が困難になることがあります。したがって事前に主治医と連絡を取り、現在の止血時間等から判断し必要に応じて休薬をして頂く事で対処する場合もあります。
また、極まれにですが、ご本人が気づかれないうちに、血液の病気(血が止まり難くなってしまう様な病気、白血病等)にかかってしまっていて、それを知らずに手術を受けてしまう場合があります。この様な場合には可及的、そして迅速に止血処置を行い手、状態によっては,手術は中断し然るべき医療機関に搬送する事が大切になります。
いずれにしても、お身体の病気が歯の手術(特に止血)に影響をおよぼす事がありますので、事前に歯科医師等と充分にお話をされたほうが良いと思います。
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インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について1 インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について2
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