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レーシックで67人感染症 19歳女性失明の恐れも 

前回の続きになります。今回は、感染症を引き起こす細菌のお話です。

細菌は、皆さんにとって悪ものでしょうか?もちろんこのような感染症を引き起こす場合は悪ものですが、実は私たちは、この細菌たちを利用して恩恵をうけていることもあるんですよ。例えば、発酵です。これは微生物が栄養を分解した時に、その結果として生じるもので、酒や、醤油、味噌、というものからさらにはビタミンや抗生物質などもこの発行という作用を利用して製造するんです。そして、この作用が人間にとって有毒な物質と悪臭のある気体を作ってしまうと、腐敗と呼びます。

つまり、細菌は我々に取って敵にも味方にもなるんですね。つまり私たちは、この微細物達と上手く付き合っていかなければいけないのです。こんな、事件が起こったばかりですが、基本的には、日本人はキレイ好きで、下手をすると度が過ぎてしまっている場合もあるように思います。実は、キレイキレイ症候群と呼ばれるものがあります。細菌をただ悪いものだととらえ、何でもかんでも殺菌、消毒、抗菌コートしている。そしてそれを売りものにしている製品がたくさん出ている。医療レベルではなく、一般生活のレベルでは、たとえば手洗いや、食器洗いで、殺菌、消毒、抗菌のレベルが必要だとは思えないのです。それなのに、何でもかんでも殺菌、消毒、抗菌となってしまう。

これ、実は問題なんですね。例えば常在菌という菌がいます。これらは、健康な生活を営んでいる私たちの皮膚、お口の中あるいは腸内など様々なところに生息しています。そして、実は私たちは、この常在菌の恩恵を受けながら生きているのです。例えば、皮膚にいる常在菌のおかげで、皮膚が弱酸性に保たれたり、腸内細菌のビフィズス菌のおかげで、腸内環境が保たれたりするという事があります。もちろん、常在菌の中でも、たとえばお口の中にいる、ミュータンス菌という菌は、残念ながら悪玉菌で、今のところ多くの研究では、可能ならば選択的にこの菌を取り除くことが、虫歯予防に役立つと言われています。

そして、たとえば、日本の医療上の大きな問題とされているものに、耐性菌問題というのがあります。これは、過去にあまりにも抗生物質を多用してしまったが為に、ある種の抗生物質が効かない菌が出てきてしまっているという問題もあります。

また、たとえば、擦り傷や切り傷を負った時、多くの皆さんは、直ちに消毒し、絆創膏をはって、傷口は乾かした方が良いと考えています。しかし、近年世界的に注目されている治療では、傷口は、出来れば生理食塩水、なければ水道水で充分に洗い、出血がある場合は、清潔ガーゼあるいは、タオルで押さえて止血をし、その後ワセリンを傷口に塗って、ラップで巻くという方法(モイストヒーリング法)が主流になっているのです。この方法でも、消毒薬を使わないのは、消毒薬は、細菌を殺すだけでなく、再生していくための体の細胞もダメージを与えてしまうとの考えが支持されているからなのです。もちろん、破傷風菌が存在するような場合は、しっかりと消毒が必要です。

こう考えると、私たち人間は、上手く微生物(ほんとは微生物だけでなく地球環境全てですね)と付き合っていくことも必要になります。ですから、一般の方は、日常生活ではあまり神経質なるのも問題ですし、逆に我々医療従事者は、細菌その他、感染性微生物等を十分に理解し、適切な形で、治療、感染対策等に対処していく必要があります。

では、歯科医院での感染対策は、現在どのようになっているのでしょうか?これも基本的には、ほとんどの場合が安全であると思います。例えば、一般の歯科治療の殆どが、特に硬組織の治療で、病気の治療、つまり感染しているところ、あるいは細菌を取り除く治療というレベルで考えれば、今の日本のガイドラインを遵守していれば(ここが大切ですね)大丈夫です。

ただし、最近、注目されている、歯科インプラント治療を、インプラント体という異物を生体内に埋め込む治療という観点からとらえると、少し疑問が出てきます。簡単にいうと、日本のガイドラインでいう感染対策だけでは、厳密には、例えばヨーロッパの国では、インプラントができない場合もあるんです。もう少し厳格に、レベルの高い感染対策を施す必要が出てきます。

諸外国とこのような違いがあるのは、いろんなバックグラウンドがあることは確かですが、細菌も人もそして感染のメカニズムもほとんど違いがないことを考えると、もろ手をあげて安心とは言い難い部分もあるかもしれませんね。

また、時々、マスコミ等にも取り上げられているようですが、医療者の一部には、感染対策に無頓着な人間もいるようです。今回の件も、このような事が、起因しているのかもしれませんね。このことを機にもう一度、我々医療従事者は、感染対策等について単にマスコミに踊らされるのではなく、専門家としてしっかりと考えていくべきでしょう。

当院は、インプラント治療もおこなっていることもあり、感染対策は日本の基準より厳しいヨーロッパの基準を満たすレベルで行っております。

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