馬見塚デンタルクリニック
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東大生の歯医者さんが教えるはと脳の最新科学という本の中で、

東大生だからといって、生まれつき歯に違いがあるわけではなく、 

虫歯の数も、歯並びも、歯の丈夫さも、他の大学の学生と変わらないということでした。

東大生と言っても特別ではないようですね。

しかし、この本によると卒後の東大生は、歯を長持ちさせる割合が多い可能性があるそうです。そこで、今日は、この話題についてです。

このことについても、厳密に統計を取ったわけではないそうなのですが、東大生のなかで、在学中に堀先生に治療を受けられた方の中でその後も堀先生のクリニックに通い続けている方と長年接してこられたことで感じられているそうです。

この本によると、東大生は二年生の時に必修科目の保健学の中で、堀先生から虫歯や歯周病になるメカニズムと正しい予防法を論理的に説明され、それを目をか輝かせながら真剣に聴いて、よく理解してくれるそうです。

そして、脳に叩き込まれた予防法を、愚直なまでに守るそうです。

ここが流石なのかもしれませんね。

予防法(ブラッシング等のケア)と言う単純な作業に意味を見出し、律儀に、まじめに、毎日コツコツ積み重ねることが、老後の健康な歯を作っているんです。

真実とは、シンプルなことですね。

いかがでしたか? 

先日のいたましい事故をうけてブログを書かせていただいたために、間があいてしまいました。

今日からまた再開しますね。

前回のブログで、東京医科歯科大学が行ったフィールドワークによって明らかにされたことの一つに、モンゴルの遊牧民の子供たちは、虫歯の数が極端に少ないのです。

そして、事もあろうか、彼らには歯磨きの習慣がないというお話しをしました。

今日はその理由について、お話ししますね。

モンゴルの遊牧民の子供たちに虫歯が少ないのは、食生活が理由なのです。

モンゴルの遊牧民の食べ物は当時、乳製品と肉が中心でした。甘いもの、柔らかいものはほとんど食べずに、主食の肉は乾燥させたもので、それを良く噛んで食べなければならないのです。

そのため、咬むという行為自体が歯をきれいにし、そして顎の発達を促していたのです。

そして、この調査から年月が経って、モンゴルの遊牧民の子供たちも甘くて柔らかい食べ物をたくさん食べられるようになったため、先進国と呼ばれる国と同様に、モンゴルの遊牧民の子供たちのお口にも虫歯がたくさんできてしまったのです。

このことからも、食生活、食習慣の重要性が伺えますね。

しかし、今日の日本で生活していくうえで、甘いものや柔らかいものを食べないようにすることは不可能ですよね。

ですから、より一層、食事の取り方、甘い物の取り方の工夫、そしてプラークコントロールが大切になるのです。

東大生の歯は美しい?

 「歯が生まれ育った環境から影響を受けることはないのでしょうか?」  

東大生の歯医者さんが教えるはと脳の最新科学という本の中に、

東大生の歯を診ているという話をすると、よほど興味をひくものらしく、「東大生の歯には何か特徴がありますか?」とよく聞かれます。

「頭がいいのだから、歯も普通とは違って上部なのでは」、

あるいは逆に、「勉強ばかりしているから、ひ弱で虫歯が多いのではないか」といった質問を受けます。

 こうした問いに対しては、「東大生だからといって、生まれつき歯に違いがあるわけではありません。

虫歯の数も、歯並びも、歯の丈夫さも、他の大学の学生と変わりませんよ」とお答えしています。

これは、別に厳密な統計をとったわけではありませんが、診療所に歯の治療に来る学生だけでなく、入学時の検診で新入生全体の歯を診た経験からもいえることです。

とありました。

東大生と言っても特別ではないようですね。

しかし、この本によると卒後の東大生は、歯を長持ちさせる割合が多い可能性があるそうです。

このことについては、またあとで述べていきます。

そして、今回のテーマで、この本にも書いてあるのですが、 

「歯が生まれ育った環境から影響を受けることはないのでしょうか?」 

答えは、影響を受けます。 

世界には、虫歯の極端に少ない民族が存在することが知られています。

この本にもありますが、

例えば、東京医科歯科大学が行ったフィールドワークによって明らかにされたことの一つに、モンゴルの遊牧民の子供たちは、虫歯の数が極端に少ないのです。

そして、事もあろうか、彼らには歯磨きの習慣がないのです。

きっと皆さんもびっくりされているでしょうね。

その理由については、次回にお話ししますね。 

前回のブログで、6歳臼歯の大切さと虫歯になりやすさはご理解いただけましたか?この6歳臼歯を虫歯にしないことが、とても大切です。

そして、7歳頃になると、自分の口の中を自分で管理する習慣ができてる子と、そうでない子の差が大きくなってきます。これは、34才の頃にブラッシングが習慣になっているかどうかが、ポイントです。ブラッシングが習慣になっている子たちは、おのずと親の手を離れてなにも言わなくなっても、当たり前のように磨く子になります。その自主性を尊重しつつ、最終的な仕上げ磨き、あるいは仕上げのチェックはちゃんとしてあげてくださいね。そして、デンタルフロスも使い続けることが大切です。

6歳臼歯は、その名のとおり、6歳前後に生えるのですが平均的ですが、それでもやはり個人差というものがあります。早い子は、5歳前後、そして遅い子は8歳くらいになって生えてくることもあります。もし心配ならレントゲンによる検査で、6歳臼歯があるかどうかを調べることも可能です。お通いになっている歯科医院に相談をされてみてください。

健康歯考ブログ「あなたの大切なお子さんを虫歯にしないために大事なこと」も今回で]50回目を迎えることが出来ました。 少しでも、みなさんのお役に立てていれば幸いです。

さて、では始めていきましょうね。

6才になると、下顎の一番奥に6才臼歯が生えてきますが、この歯はかみ合わせの面の凹凸が激しいので、この歯から虫歯になる可能性が高いのです。ほとんどのお子さんがこの歯を虫歯にしてしまい、大人になると、抜かなくてはいけなくなってしまうことが多いのです。

しかし、この歯はとても重要な役割があり、その一つは、咬む力がとても強くてしっかりした歯です。ですから、この歯をきちんと一生保護することが非常に大切になります。

そういう意味もあって、6才臼歯が生え始めると、様々な方法で、虫歯にならないようにアプローチをすることが重要です。

そのひとつに、咬み合わせの面から虫歯にならないように、その溝を埋めるフィッシャーシーラントというものがあります。

いずれにしても、この時期は、定期検診をまめに行ったほうが良いでしょう。

6才臼歯は生えてきてからきちんと咬み合うようになるまで6ヶ月から、1年位かかると言われています。はじめに下顎の6才臼歯が生えてきて、途中から上顎の6才臼歯が出てきますが、上下顎で咬み合わない状態がしばらく続きます。

咬みあっていればそのこと自体で自浄作用がありますが、咬み合わないとそこだけが非常に汚れて、その間、虫歯になりやすい環境になります。その期間を無防備に過ごさないことが大切です。

もうひとつ6才臼歯がう蝕になりやすい理由として最後方に生えてくるので清掃が困難ということもあります。そしてまた、生えてきて間もない歯は歯の質が未成熟で、柔らかく、虫歯菌の出す酸に対する抵抗力が非常に弱いので、そういった点でも虫歯になりやすいのです。

大切にしてくださいね。

今日も前回の続きになります。

45才になるとかみ合わせの面の虫歯よりも、歯と歯の間(隣接面)の虫歯が問題になってきます。歯と歯の間(隣接面)というのは最初に歯が生えてきた時には比較的隙間があるのですが、生えてきてしばらく経つと、後方の臼歯はどんどん前のほうに力がかかるようにはえるので、この隙間がなくなります。そうすると、そこにはブラシの毛先が入らなくなるので歯磨きをしても歯と歯の間(隣接面)はほとんど磨けていないということになります。

そのため、歯と歯の間のおそうじには、11回デンタルフロスを使うようにしてください。

デンタルフロスは、無理に使うと痛いものですので、歯科衛生士に使い方の指導をうけるといいですよ。

前回、乳歯の生え始めについてお話ししました。

では、前回の続きです。

生後6ヶ月位で、乳歯の前歯が生え始めてくることはお解りいただけたと思います。

そして、1才半になると奥歯まで出てきます。この時期に生えてくる下の第一乳臼歯のかみ合わせの面は凹凸があるため特に虫歯が多い場所です。プラークがたまりやすい場所なので、丁寧にブラシをするようにしてください。

次に3才ぐらいの特長です。乳歯列が完成する時期で、一番後ろに第二乳臼歯が出てきます。この歯もかみ合わせの面に凹凸があるので、虫歯に注意してください。

歯の形態によっては、この溝が深くて、とてもブラシがしにくいこともあります。フィシャーシーラントという、かみ合わせの凹面にマネキュアのようなものをコーティングする予防処置を行います。

これは磨り減ったり、取れたりすることもあるので、定期検診へ半年に一度は行き歯医者さんで見てもらうと良いですね。あと、時間を決めて食事をするようにして、だらだら食いを防ぎ、その後、かみ合わせの面を中心にブラシをすることも大切ですよ。

今日は発育段階による虫歯発生の特長についてお話したいと思います。

子供のお口の中は年齢によって変っていきます。乳歯が生え、そして永久歯に生え換わり、それと同時に顎の骨自体も成長していきます。

また精神的な成長もありますので、それに合わせた虫歯予防の指導を行う必要があります。

 まず、乳歯萌出期です。生後6ヶ月くらいから乳歯が生えてきます。

歯の生えていない段階では母乳や哺乳瓶で栄養をとっています。

特にこの時期は、哺乳瓶の影響が尾を引く場合があります。ミルクやジュース、スポーツドリンクなどを哺乳瓶に入れて飲む習慣が歯の生え出した後も続くと、上の前歯のほっぺた側に典型的な虫歯ができます。これは「哺乳瓶う蝕」という名前がついています。

唾液の自浄作用は上の前歯がもっとも劣っているため、上の前歯だけ虫歯になってしまうのです。

 この時期になれば、なるべくお水やお茶だけをあげるようにしましょう。

また、母乳を2歳過ぎまで飲んでいた子は口腔全体の虫歯が多くなると言われています。

考え方は様々ですが、母乳は1才を過ぎると栄養的な価値はほとんどないとも言われています。

いつ断乳するかは、親御さんの考え方次第となりますし、スキンシップは大切なので十分にお考えいただくことが大切ですね。

 ただし、虫歯予防の観点からは、母乳のだらだら飲みを辞めたり、寝る前に与える習慣をなるべく辞めたりするなど工夫をして頂くことが効果的です。

前回、キシリトールが虫歯抑制に効果があるというお話しをしました。

今日は、具体的にキシリトールにどんな効き目があると言われているかについいてです。

まず、キシリトールはムシバラスの数の減少に効果を示すように考えられていますが、現実的にはムシバラスの「質の変化」を生じていると考えられています。

もともとムシバラスの中にはキシリトールによって代謝阻害が生じず数が減少しない「キシリトール非感受性菌」とキシリトールによって代謝阻害を生じ数の減少する「キシリトール感受性菌」があると言われています。

ということは、キシリトールが効くムシバラスと効かないムシバラスがいるということです。

ではまず、キシリトールが効くムシバラスについてです。

キシリトールが効くムシバラス(キシリトール感受性菌)というのが、悪いムシバラスで、このムシバラスは、歯にこびりつく能力が高く、そして歯を溶かす酸をたくさん作ることができるのです。

簡単に言うと、虫歯を作る能力に富んだムシバラスなんです。

そして、効かないムシバラス(キシリトール非感受性菌)は、歯にくっつきにくく、たとえくっついたとしても、剥がれやすい上に、歯を溶かす酸を産生する力が低いと言われています。そのため、口腔内に存在しても虫歯発症のリスクが低いのです。言いかえれば良いムシバラスですね。

そして、キシリトールを長期摂取すると、う蝕原性の高い「感受性菌」である悪いムシバラスがどんどん減少し、う蝕原性の低い「非感受性菌」良いムシバラスに置き換わっていくため、より容易に虫歯の抑制が可能となり、またムシバラスの母子感染を生じにくいものに変化すると考えられています。母子感染が生じにくいことから、子供のう蝕予防にも効果があると言えます。

前回、虫歯菌の母子感染についてお話しましたが、今日はムシバラス退治についてです。

ムシバラス退治には、様々な方法があります。歯みがき、食事のコントロール、フッ素の利用等いろいろな方法があります。

その中で、今日はキシリトールについてです。

みなさんはキシリトールを利用したことはありますか? キシリトトールはプラム、イチゴ、ラズベリー、カリフラワー、レタス、ほうれん草などに含まれる砂糖と同じくらいの甘みがある5単糖の糖アルコールです。

砂糖と同程度の甘みですが、カロリーは砂糖の75%です。

では、どうして虫歯の抑制が出来るのかというと、そのメカニズムはムシバラスがキシリトールを食べたとしても、キシリトールが非発酵性であるために酸を作ることが出来ないのです。さらに、歯垢とムシバラス達の増大を抑制し、歯質の再石灰化(歯を強くすること)を促進すると言われています。

次回も続きを掲載します。

 皆さんは、ゴールデンウィークいかがお過ごしだったのでしょう?リフレッシュできましたか?

天候にも恵まれて、行楽地は多くの方でにぎわったみたいですね。

さて、前回、虫歯の原因は間違いなくムシバラス(虫歯菌mutansu streputococciMS))だということ、そして、何とかしなければいけないということをお話ししました。

今日は、その続きです。

今回はこのムシバラス(虫歯菌mutansu streputococciMS))がなぜうつるのかについてです。

では、ここで質問です。

お母さんが食べものを噛んでから子供に与えたり、親子で同じスプーンやお箸を使ったりしていませんか? 

実は、お子さんのお口の中のムシバラス(虫歯菌mutansu streputococciMS))は、ご家族からうつるといわれているのです。

それも、口移しによって移るといわれています。接する機会の多いのが一般的にお母さんであることから、母子感染するという表現をされています。

特に生後1931ヵ月の間は母子感染(実際には口移しによる感染)しやすいので注意してください。

2歳前に感染すると、お子様の虫歯になる可能性が高くなると言われています。

出来ることなら、お母さんのお口に入れたものを、そのまま赤ちゃんのお口の中に入れないほうが良いですね。

虫歯菌(MS)をたくさん持っているお母さんからはうつりやすいので、気をつけてください。

しかし、このことにあまりにも神経質になりすぎるのはいかがなものかと思います。

赤ちゃんにとって、スキンシップはとても大切なこと、虫歯菌のことを心配しすぎてスキンシップがおろそかになっては、本末転倒な気がします。

出来るならば、お母さんがちゃんと歯科医院で検査を受けて、虫歯菌の量を調べてみることが大切ですね。全員が虫歯菌が多いわけではありませんし。そのコントロールもある程度は可能になってきています。

そして、お母さんもきちんと虫歯の治療をして、毎日の歯ブラシをがんばって、お口の中をきれいに保つことが大切です。

前回まで、医療情報のとらえ方について、少し難しい話をしてきました。

今日からは、虫歯菌の母子感染についてのお話をしていきたいと思います。

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯菌mutansu streputococciMS)は存在しません。

それでは、なぜ虫歯菌が赤ちゃんのお口の中に住み着いてしまうのでしょうか。その原因の多くは、ご家族とくにお母さんの虫歯菌が、唾液を介して子供にうつる母子感染が多いと言われています。

 感染と聞いてしまうのととても怖いものだと思われてしまいますよね。確かに、虫歯という観点からは、怖いことではありますし、これを防ぐことは虫歯予防の観点からするととてもよいことになります。

 では、まずこの感染ということについてです。

感染とは、「病気を引き起こす可能性がある生物が体内に侵入すること(ステッドマン医学大事典より) 」をいいます。

その結果として、咳、くしゃみ、発熱、発疹、下痢などの何らかの症状がでた場合を「発症、発病」といいます。

そして、感染症とは感染によって引き起こされた病気のことを言うのです。

実は、虫歯、そして歯周病は、感染症と呼んでよいのか?というと専門的にはそう簡単にはイエスと言えないものなのです。

まあ、そのあたりはさておき、虫歯の原因は間違いなくムシバラス(虫歯菌mutansu streputococciMS))なわけですから、何とかしなければいけません。

では、次回はこのムシバラス(虫歯菌mutansu streputococciMS))がなぜうつるのかについてです。

前回まで、医療の数字に関していろいろとお話してきました。少しでもお役にたてるようにと考えたつもりですが、なんだかよくわからなくなってしまったかもしれませんね。

チョト極端な表現ですが、医療に関する情報は、それ自体が間違っているわけではないが、それが全てではなく、それゆえに足らない部分、あるいは表されていない部分を読み取ることが必要となるということです。

これは、我々医療従事者も同じことなのです。

では、それらを正しく評価、判断するにはどうしたらよいのでしょう。 

 まずは、参考までに我々医療従事者の場合は、その数字に表わされていない情報を自分たちの経験や専門的な知識で補うことで、その情報を批判的?に解釈しています。

この方法の講義があるくらいなのです。 

例えば、私達であれば、ある治療をしなかった場合に、どのような問題が起こるのか、起こらないのかを判断できますし、その薬治療法がどのくらい行なわれているかのおおよその判断もできます。

情報に欠けている部分があっても、それを補いながら判断することができるのです。

ですから、基本的にはみなさんに比べて、情報に振り回されない解釈ができていると言えるのかもしれません。

私達の知識があるかないかの違いは、その持てる知識の量だけではなく、その知識を利用していかに的確な判断が出来るかなのです。

 逆にみなさんはその情報を補わずに判断してしまう可能性が大きいのです。専門的な知識を得ることは難しいですし、その経験も身近な人あるいはネット上の評判の様なものから判断してしまうため、ついつい目に見えている数字や、その表現方法ばかりに気を取られてしまうのは、無理はありません。

たとえは悪いですが、テレビショッピングのCMについつい信じて買いたくなってしまうのと同じ様なものなのかもしれませんね。

前回のブログで、

「成功率の表示についてだけいえば、症例数の多い方が信頼性が高くなるといえるのですが、だけが太線になっていることからもご想像はつくと思うのですが、症例数がただ多ければいいというのではない」というお話をしました。

症例数が多いことを統計学上でサンプル数が多いという表現をします。

このサンプル数、私達の場合でいえば、症例数が多いということになります。

すると前回の考え方では、その成功率の信頼性は高くなります。

しかし、例えば、その症例に偏りが大きいつまり、比較的簡単な状態、あるいは条件の良い患者さんたちを主に対象としいるとします。

そうすると、そこで難しい状態の患者さんの治療を行うことになった場合は、同じような結果を得られるとは言えないのです。

集まったあるいは集めた症例に偏りが大きいければ、そこからは正しい結論を導きだすことは出来ず、その結果が一般的だとすることもでくなるのです。 

以前にもお話ししましたが、このような結果に影響を与える偏りのことをバイアスと呼びます。

統計をするうえで集団を集める時に、生じるこのようなバイアスを完全にとり除くことは不可能なのですが、意図的であろうとなかろうと、その集団に明らかな偏りが認められれば、たとえその集団の規模が大きくても、今回の場合でいえば、症例数が多いとしてもその結果からは、正しい結論を導き出すことはできないのです。

これまでのインプラント手術の成功率は93,5%って安心? 

上のフレーズはよくあるものですよね。

でも、93.5%では少しわかりにくいので、これまでのインプラント手術の成功率は100%にしてみましょう。

では、この歯科医院で、あなたがインプラント手術を受けるとしたら、成功する確率は100%でしょうか?

そう思いたいでしょうが、残念ながら、そうではありません。

でも逆にこれまでのインプラント手術の成功率は100%なんて言われたら、ちょっとうそくさくありませんか?そう思ってしまう私は、疑い深いのでしょうかね?

では、100%の手術成功率―これは、今まで行った手術の総数が1例でも、あるいは100例でも5000例であっても、それぞれ成功した手術件数が11005000例であれば、ウソではありません。 

しかし、たとえ同じ成功率100%だとしても、それぞれの医院で、次に手術を受けた時に、成功する可能性は、手術の経験数が増えるほど上がります。

これは、極端に聞こえるかもしれませんが、統計学的に見ても経験数が限られているうちは、その成功がたまたま偶然に起こっている可能性があるからです。  

医学の世界では、あることを100回行って95回は正規分布(極端なばらつきを除外した範囲、統計結果のグラフや表の両端2.5%を除いた範囲)の範囲の結果が得られるだろうという95%信頼区間というものが用いられます。 

この95%信頼区間の考えを用いて、成功率100%の手術が次に成功する可能性の最低ラインを手術の経験数ごとに計算してみましょう。

そうすると、以下のようになります。  

これまで行った手術が

1人中1人が成功の場合   → 成功率の下限は   5

2人中2人が成功の場合   → 成功率の下限は  22

3人中3人が成功の場合   → 成功率の下限は  35

10人中10人が成功の場合 → 成功率の下限は  74  

となるのです。

すなわち、1人受けて1人成功した手術を、次にあなたが受けた場合に成功する割合は、最も厳しく見積もると5%ですが、すでに10人中10人が成功していれば、同じように厳しく見積もっても74%の成功率が望めることになります。 

つまり、このような成功率の表示についてだけいえば、症例数の多い方が信頼性が高くなるといえるのですが、だけが太線になっていることからもご想像はつくと思うのですが、症例数がただ多ければいいというのではないんです。

それについては次回をお楽しみに。

 前回は、成功率等にみられる数字の見せ方で小数点以下の数字が出ると何となく真実味が出てしまうというお話をしました。 

このような成功率の話では、よくあるのがインプラント治療の成功率が94,6%である等の表記ですね。

さて、今日はこのようなある医院での成功率表記の落とし穴についてです。

グループの情報をとりまとめた数字だけに注目してしまうことの危険性についてのお話です。 

治癒率や生存率などは、いずれもある集団(このような場合はその治療を受けた人達)の情報をとりまとめて算出されます。

このとりまとめ方を間違ってしまうあるいはあえて取りまとめ方を意図的に操作する、あるいは統計の仕方を間違うと、そこから導き出される数字はいかようにもなってしまうのです。

例えば、学習塾のテストの成績を考えてみましょう。    

試験で、 受験クラス3人  100点、90点、80点、平均点90点          

     進級クラス3人  70点、60点、50点、平均点60        

という結果が出たとします。

しかし、塾の情報をHPに出す際に、少しでも見た目を良くしたい場合、受験クラスで80点をとった生徒を進級クラスに移してみましょう。    

すると、どうでしょう        

受験クラス2人   100点、90点、       平均点95        

進級クラス4人   80点、70点、60点、50点、 平均点65   

となってしまいます。

つまりこの塾の先生は、生徒に何も教えなくても両クラスの平均点が上がってしまうのです。    

この様な数字のマジック?は、医学の数字や、医療機関の数字にもあてはめることができますね。

統計っていうのは、本当に難しいものですね。

もう少し医療にかかわる数字の捉え方についてお話させてくださいね。

前回、治療成績をそのままとらえるのではなく、その対象者について十分考慮煮れるべきだというお話をしました。

 今回は、ここで用いられる数字についてです。

例えば、インプラントの治療の成功率が93.5%というような表記というものをよく見ると思います。

このように小数点以下まで93.5%細かく数値が示されると、もっともらしく見えますよね。

これが90%となっていたらどうでしょうか?

何かぴったりしすぎて、いかにも作られた数字のように見えませんか?

でも、実際は、この数パーセントの違いを厳密に評価したり、その違いについて十分議論して、結果あるいは違いの意味を出せるほど、このような数字に厳密さはないと言えるんです。

だからと言って、学会等でこのような発表をする場合に大まかな数字で良いわけではありません。

しかし、みなさんがこのような情報の数字を見る場合は、小数点以下まで細かく気にしたりするのは、ほとんど意味はなく、ある程度おおまかな情報に過ぎないと考えたほうがよい場合が多いと思います。 

さて、今までのダイエット等の数字から、もう少し医療に関する専門的な数字についてお話させてください。 

ここ数年、医院、病院そして医者選びのための出版物、たとえば「病院ランキング」と称される本が多く出ています。

そのランキングをつけた理由として、用いられる数字があります。

たとえば、治療や手術の成功率や5年生存率、治癒率などです。 

これらの数字は、いままでのダイエット食品等の広告と比べると、数字も詳細で、「真実味」というか「本当らしさ」を感じるように見えます。

でも、このような数字でも単に鵜呑みにせずに、注意深く見るべきポイントがあるんです。 

たとえば、

A病院の胃がんの治療結果の5年生存率は93.5%、

B病院では5年生存率は80.3    

この数字をみるとおそらく多くの人が、A病院が安心だと思われるでしょうね。

しかし、本当にそうだといえるのでしょうか?  

例えば、二つの病院が出したこの結果は、どのような患者さんを対象とした胃がん治療の成績なのでしょうか? 

たとえば、単に胃がんの5年生存率といっても、その患者さんが診断を受けた時のがんの進行度、状態によって、その結果は、大きな開きが出てしまいます。 

つまり、がんが進行した患者さんや難しい状態になった患者さんを多く受け入れている病院と、比較的早期に発見されたうえで、紹介されて来院され様な患者さんの多い病院とでは、その治療の生存率に違いが出る可能性があるますね。

また、手術が可能な患者さん(治療効果が認められるであろう患者さん)だけの治療成績だけを抜粋して、統計を取り、生存率を出していることもないとは言えないのです。 

このような、対象者となる患者さんの偏りも、以前に述べた「バイアス」の一つになります。  

 昨日、桜の開花宣言が東京でもありましたね。

今週末は、お花見でにぎわうのでしょうね。

 では、前回の続きです。 

 健康、ダイエット、医療関連の数字の突っ込みどころの続きです。 

驚異のダイエット食品! 1日1回これを食べるだけ! たったの3カ月で30キロの減量に成功! この宣伝の数字に対する突っ込みどころ③ 

この食品を食べた人は、本当にこの食品の効果で痩せたのでしょうか?   

 今回この3ヶ月で痩せた人たちは、ダイエット食品がどのくらい影響を及ぼしているか、その因果関係を示す為には、この表現だけでは根拠があるとは言えません。

 たとえば、痩せた人たちは、この期間、せっかく痩せるのだから頑張ろうと、いつもしていない運動をし始めたのかもしれません。

あるいは、せっかくだからと大好きな甘いものを我慢していたのかもしれませんね。 

 このように、その効果に影響を与える複数の物事が存在することを専門的には「バイアス」といいます。そして、このようなバイアス(ここでは、始めた運動や、中断した甘いもの)が実は痩せる為の本当の原因だったということもあるうるわけです。 

 ですから、原因と結果の関係を示すためには、たとえば今回の場合でしたら、この食品をとる・とらないという点を除いて、その他のことや条件(年齢、体組成(体重や体脂肪率、筋肉量)、生活習慣、食習慣、日々の運動量など)を可能な限りそろえ、できればなるべく多くの人数を集め、そしてその人達をこのダイエット食品をとった人達と取らなかった人達という、2つのグループに分けて、その結果を比較しないといけませんね。 

さて前回の続きです。 

健康、ダイエット、医療関連の数字の突っ込みどころの続きです。 

驚異のダイエット食品! 1日1回これを食べるだけ! たったの3カ月で30キロの減量に成功! 

この宣伝の数字に対する突っ込みどころ② 

いったいこの食品は何人が摂取して、そのうち何人に効果があったのでしょうか?

 このような広告には、複数の体験談が載っていることが多いですよね。

一人よりも複数のほうが真実味がありますからね。 

 しかし、たとえ10人の喜びの声が寄せられていたとしても、もし500人の「飲んでも全然体重が減らなかった人」がいたらどうでしょう。

 また、あってはいけないことですが「かえって太っしまった」あるいは、「食べたら体調が悪くなった」人たちがいるかもしれませんよね。

このような記事の場合、これらの情報はきちんと書かれているでしょうか。 

 この数字(ここでいう「3カ月で30キロ」)が示す意味つまり効果の有用性を判断するには、まずもとになった「分母」であるその食品を摂取した人の数の大きさを知る必要があります。 

 100人中100人に、あきらかにわかる効果(この判断も実際には難しくどう判断するかだけでも論議の対象となるのですが)があったのと、10000人中100人にしか効果が現れなかったのとでは、この食品の評価は大きく違ってくるわけです。

法的に示す必要があるかどうかは定かではありませんが、とても大切なことですね。

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