馬見塚デンタルクリニック
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前回も、インプラントのトラブルについて、少しお話しさせていただきました。

引き続きインプラント治療のトラブルについてです。残念なことではありますが、インプラント治療に伴うトラブルについて報告が、最近多くなっています。 

 では、始めましょう、この番組では 、以下のように語られていました。

インプラント手術を2年前に受けた男性は、傷口から感染を起こしたため、歯科医に抗議した。
男性は「『失敗じゃない』と、突っ張っていましたね」、「その先生は最後に何を言い出すかというと、『わたしは借金している』という話、膨大な借金ですよ...、聞いたら」と話した。
歯科医院の経営が厳しいという、意外な現実がある。
理由は、保険の診療報酬の引き下げが続いていること、歯科医がおよそ9万7,000人と増えて、供給過剰になったことがある。
そうした中で、保険の対象ではないインプラント治療は、費用を自由に設定でき、一部の歯科医院にとってドル箱となった。
すでに、15年ほど前に確立されたインプラント治療が、今になって急激に伸びている要因の1つに、経済事情がからんでいる。

しかし、この報道の仕方は、まさにテレビ的手法というか、何というか・・・確かに、昨今は歯科医院の経営上環境は厳しいものがあります。この事に伴い、様々な問題が起こっています。その中には、結果として患者さん側に、被害が及んでしまう事が、起こってもいます。

しかし、それらをすべて一つにくくって、経営環境が厳しいからという判断をするのはあまりに短絡過ぎています。教育、報道、制度等様々な問題が絡まり引き起こっていることであり、可及的すみやかに、そして慎重な対応が、必要だと考えます。

そして確かに、経営環境の悪化と時を同じくして、なぜかインプラントバブル?というような現象も起こっています。インターネット上はその最たるものでしょう。手厳しい人たちは、歯科医院のインプラントに関するサイトは、医科のレーシックと同様、とんでもない状態になっていると言っています。

確かに、15年前は、歯科医師の殆どがインプラント治療に対して慎重な態度であったのに、ここ数年で、インプラント治療を行う歯科医院が急速に増えていることは確かです。

このサイトも確かにインプラント関連のものですが、情報の偏りをなくし、可能な限り、皆さんの役に立つサイトを目指しているつもりです。

 前回は、インプラントのトラブルについて、少しお話しさせていただきました。

今日は、引き続きインプラント治療のトラブルについてです。残念なことではありますが、インプラント治療に伴うトラブルについて報告が、最近多くなっています。

 では、始めましょう、この番組では 、以下のように語られていました。

 インプラント治療に30年の経験を持つ、堤デンタルクリニックの堤 一純院長のもとには、ほかの歯科医院で失敗した患者が、相次いで訪れている。
 堤院長は「インプラントのボディー(人工歯根)が、本来なら歯茎の粘膜の下に入ってなければいけないんですね。長さ自体が11mm前後のものですから、3分の1が露出してしまっている。中にはやっぱり、とんでもない手術をしていただいている先生もいらっしゃることは事実なんですよ」と話した。

 この様なトラブルが多く出だしていることは確かです。ただ我々も患者さんに起こってしまった結果だけをとらえるのではなく、十分なインタビューを行い、事実関係を明らかにしていく必要があるのではないでしょうか?起こった結果は、同じようでもその原因やプロセスが違う事も多々あります。

 皆さんは今かかっている、あるいは今後通院するであろう歯科医師と十分なコミュニィケーションをとり、信頼関係を造り、継続的な関係を構築する事が大切です。

 現時点で、「施せばそのままでも一生持つというような治療」は存在しません。まして、インプラント治療は、歯を失うという何らかの理由がある患者さんに対して、人工的な歯を作ることになるわけですから、失った理由の改善がされていなければ、インプラント自体も失うことになるわけです。

 堤先生がおっしゃるような「とんでもない手術をしていただいている先生もいらっしゃることは事実」なのですが、それだけがインプラントがダメになる理由ではありません。

 患者さんの全身状態や、生活習慣、歯周病のリスク等の把握とそのコントロールが大切です。やはり、治療の前に、十分なコミュニケーションをとり、お互いが十分理解し、信頼関係が構築されることが大切でしょう。インプラント治療と全身疾患、術前のスクリーニング等についてはこちらもご覧下さい。 

http://blog.118.md/article/13196291.html

http://blog.118.md/article/13197125.html

http://blog.118.md/article/13200087.html

http://blog.118.md/article/13203051.html

 前回は、インプラントの治療費について、少しお話しさせていただきました。基本的に費用というものも、その医院の治療に対する考え方、理念の表れのひとつだとおもいます。

 出来うることならば、その価格の高低だけにとらわれず、なぜそのような設定になったのかも、お聞きになってみたほうが良いのではないでしょうか?

 さて、今日は、インプラント治療のトラブルについてです。残念なことではありますが、インプラント治療に伴うトラブルについて報告が、最近多くなっています。 

 では、始めましょう、この番組では 、以下のように語られていました。

 ただし、インプラント治療は、高度な技術と経験が必要とされ、最近はトラブルが目立っているという。  春日井教授は「神経だとか血管を避けながら、なおかつ残っている骨の少ないところにドンピシャにピタッとインプラントを入れるとなると、かなり熟練しないと難しい」、

 「特にここ数年、ほかの歯科医院でやったインプラントのリカバリーとか、問題のケースがすごく増えていますね。それが今悩ましくて」と語った。
 人工歯根がぽっかりと抜け落ちてしまったケースでは、外れた人工歯根が患者の副鼻腔(びくう)の中に入り込んでしまっていた。
 このほか、神経の損傷による顔面神経痛などの後遺症や、手術中の死亡事故も起きている。

 確かに、インプラント治療は、上記のような骨の少ない所、神経や血管のそばの手術等では難しい場合もあり、熟練を要します。

 しかし、現在熟練していると思われる術者もはじめは皆、初心者だったのであります。そして、手術でも骨が豊富に存在する場合、手術部位が比較的解剖学的にも簡単な場合というものも存在すします。

 私が思うに基本的に難しい症例は、経験豊富な歯科医師にゆだねるべきであり、まず歯科医師として、その症例が自分にとって難しい症例なのかどうかを見極める能力が必要だと考えます。全てのインプラント手術が高度な技術と経験が必要なわけではないと思います。まして、多くの患者さんの為になるには、後進が育つ必要もあるわけです。最近のマスコミ報道では、神の手を持つ?と呼ばれるドクターをもてはやし、経験が浅い人間のミスをとりたてて非難する傾向があるように思えます。

素晴らしい技術を持つドクターを紹介するのは喜ばしいことですが、医療者にミスはあってはいけないという事が、前提なのはわかりますが、それをただただ避難していては、今後の、後継者の育成にはつながっていかなくなる可能性があるのではないでしょうか?この話は、簡単に終わるものではありませんので、この辺にします。

 また、患者さん側は一人歯科医師の意見で不安に思ったならば、セカンドオピニオンを取る努力を惜しまないことも大切でしょう。

セカンドオピニオンについてはこちらhttp://www.118.md/qa.asp#3のQ3もご覧下さい。

 また、ここでふれられているように大変残念なことですが、インプラント手術に伴う死亡事故も起きています。

 ただこのことに関しても、「死亡事故が起きた」という事実だけを伝えたのでは、いたずらに不安をあおるのではないでしょうか?

 「それはなぜ起こったのか」を十分に調査、検討し二度とこのような事が、起こらないようにしていくことが大切ですね。死亡事故に関しても以下のブログに関連することを掲載していますのでよろしかったたらご覧下さい。

http://blog.118.md/article/13194753.html

http://blog.118.md/article/13195096.html

http://blog.118.md/article/13195690.html

http://blog.118.md/article/13195849.html

http://blog.118.md/article/13196251.html

http://blog.118.md/article/13198091.html

http://blog.118.md/article/13199327.html

http://blog.118.md/article/13201290.html 

 今日は、インプラントの治療費についてです。番組では、費用は、1本あたり10万円台〜60万円以上と、歯科医院によって大きな開きがある。
インプラント治療を受けた男性は「満足しています。何でも食べられるし、自分の一生の財産」と話しました。

 費用に関しては、歯科医院のインプラントに対する考え方、スタッフ、設備等様々な要因がありまので、高い、安い、を判断するのは難しい場合もあるようです。例えば、インプラント治療を「生体にとって異物であるインプラント体を丁寧に正確に、埋め込む治療」と考え、可能な限り清潔な空間で、トレーニングを受けたスタッフ複数名によるチームアプローチが必要と考えるとそれなりの環境、施設、設備そして人員の確保が必要となり、費用の方もある程度高額にならざるを得なくなります。

 それとは相反しますが、インプラントは骨とは簡単にくっつく治療で、そのことは十分に証明されており、気軽に診療室で従来の治療と同じようにやって良い(当院は決してこのような考えではありません)と考えるならば、費用も比較的安価になると思います。

当院の費用についての考えについてはこちらのQ3をご覧下さい。

http://www.118.md/qa.asp#1  

 前回、「インプラントは、良く噛めるという事が、ひとつのメリットで、患者さんが受ける直接的な恩恵では、一番かもしれません。しかし、それ以外にもメリットもデメリットもあります。」というお話をしました。そしてインプラント治療の利点欠点については、以下のブログにも掲載しおりますので、よろしかったらご覧下さい。

http://blog.118.md/article/13109117.html

http://blog.118.md/article/13204664.html

http://blog.118.md/article/13206439.html

 さて前回の続きです。
「インプラント治療の一般的な手術は、「歯槽骨」に直接穴を開けて、チタン製の「人工歯根」を埋め込み、いったん歯肉で完全にふさぐ。

すると3カ月ほどの間に、新たな骨が人工歯根に形成されていく。
これはチタン特有の性質で、骨と人工歯根が強力に結合する。
その後、セラミックなどの義歯を装着して治療は終了。」というものでしたね。

 これが、一番オーソドックスな方法で、私たちもこの方法を推奨します。ここでは、「いったん歯肉で完全にふさぐ。すると3カ月ほどの間に、新たな骨が人工歯根に形成されていく。」とありますが、これは、下顎の手術をした場合の話であり、上顎の場合は、基本的には6ヶ月ほどの治癒期間を置きます。

 またこれとは全く別の新しい考え方として、治癒期間を置かずにすぐに咬めるようにするという、「即時加重型のインプラント治療」と言うものが最近話題になっていますが、顎の骨等の条件が良い場合には成功率も高いのですが、全ての皆さんにお勧めできるわけではないのです。

 その他、2000年ごろから新しいシステムが開発され、臨床でも応用され始めています。しかし、それがあたかも「最新のトレンド治療?」のような扱いを受けていますが、まだまだ臨床実績も少なく、いくつかの問題も指摘されており、今後の展開を見守っていた方が良いようです。

 その他の新しいインプラント治療についてもよろしければこちらをご覧下さい。

http://blog.118.md/article/13326356.html 

 今日は、ひな祭りですね。当院でも恒例のスヌーピーのひな飾りを飾っています。そして昨日は、御隣の塩瀬の桜餅をみんなで美味しくいいただきました。さて、本日は、衛生士ブログのアップ日ですが、前回のニュースジャパンの続きをさせて頂きます。

 東京医科歯科大学インプラント・口腔(こうこう)再生医学の春日井昇平教授は「ほかの治療法である『ブリッジ』だとか、取り外しのきく『入れ歯』に比べると、義歯がしっかり安定する、すなわちすごくよくかめるということが一番のメリット、」と話しました。 

 自分の歯と同じように強くかめるインプラント。 インプラントは、良く噛めるという事が、ひとつのメリットで、患者さんが受ける直接的な恩恵では、一番かもしれませんが、それ以外にもメリットもデメリットもあります。インプラント治療の利点欠点については、こちらをご覧下さい。

 http://blog.118.md/article/13109117.html

2009213日(金)放送のニュースジャパン時代のカルテここ数年、急速に普及しているインプラント治療の光と影。という放送がありました。その内容について、の当医院の考えをお話します。番組の要約のようなものがありましたので、それを利用し数回に分けて、私見を述べたいと思います。

まず、基本的に出演された春日井、堤亮先生の意見に賛成です。しかし、おそらく番組制作等の問題で、両先生が伝えたかった内容がすべて網羅されているわけではないと思います。お二人の先生の代弁を出来るほどん立場ではありませんが、もう少し詳細について触れさせていただき、歯科インプラント治療についての理解を深める一助になればと思います。

尚、番組の内容については黒字で、当院の考えについては赤字にて表現しています。  

以下番組より

20歳以上のおよそ9割が虫歯になっている日本で、ここ数年、急速に普及しているインプラント治療の光と影を取材しました。

 確かに、ここ数年で、インプラント治療が急速に普及し、それに伴い問題も多く出ていることは、確かです。そして、このようなことに対し、私の恩師を含め、モラルある歯科医師達(残念ながらごく少数と考えます)が、以前より警告を発していたのです。しかし、時として、その歯科医師達に対し、根拠もない誹謗中傷が、インターネットを含め様々なところで逆に広まっていたのです。例えば、モラルのある歯科医師達をあたかも過去の遺物のように表現したり、「その考えは、全く古い考えで、その様な危惧は不要である」というような話もありました。そして、私が師と仰ぎ、知識、技術、考え方を含め大変尊敬出来うる歯科医師は、残念ながらホームページも開設していないため、正しい情報が皆さんに普及できていないように思います。皆さんが必要としている情報があまりにも少ないように思います。 

まずは、注目いただきたいのが、インプラントとは離れますが、「20歳以上のおよそ9割が虫歯になっている日本」ということです。これが、問題だと思います。虫歯は、今や予防する事がほぼ可能な疾患なんです。それなのに、20歳以上のおよそ9割が虫歯になってしまっているのです。当院HPでもお話していますが、虫歯の始まり、そしてその治療の始まりが、多くの場合、歯を失う原因となってしまうのです。詳細は、こちらをご覧下さい。http://www.118.md/mondaiten.asp

 

今、インプラント治療は歯を失ってしまった人にとって最後のよりどころとなっている。 

インプラント治療は確かに、従来の入れ歯、ブリッジの欠点を補ってはいるが、インプラント自体にも欠点はあります。皆さんが治療を選択する場合は、ご自分のお口の状態、お身体の状態、ライフスタイル等を十分考慮にいれた上で選択するべきです。インプラント治療だけをよりどころにするというのは、いかがなものか?と考えます。もちろんその他の治療法も利点欠点はあります。その中からご自身に最適な方法を歯科医師と一緒に選んでいくことが重要ですね。インプラント治療とその他の治療についてはこちらのブログにも掲載されていますのでよろしかったらご覧下さい。

http://blog.118.md/article/13204664.html

http://blog.118.md/article/13206439.html 

http://blog.118.md/article/13204664.html 

笑っていいともという番組で、美人女医さんが出演され、その中のお1人からオールオンフォーについてのお話があったそうです。

私も出来るなら美しい女医に治療されたいと思います。しかし、容姿だけが美しいのではなく、心も美しく、知識、技術に富んでいることが前提になります。ここに出られている方は、制作の段階でその辺のことを十分にクリアされた方たちなのでしょう。

実は、残念ながら、私はテレビというものをほとんど見ることがありません。時間的に余裕がないということが一つですが、それに加え私にとって、最近の多くのテレビ番組は低俗(けしてすべてではありませんし、低俗という表現が適切とは言えないかもしれません)にしか映りません。

たまたま、堀場製作所最高顧問 堀場 雅夫氏がある雑誌で、ご自身が入院中に、再認識されたのが、テレビ番組の低俗さと、そのような見るに堪えない番組を、一流スポンサー企業が支えている現状を見直さなくてはならないということだということだそうです。

今回の番組が低俗かどうかは分かりません。しかし、医療を語る上で、美人かどうかが必要なのでしょうか?いや、第一条件なのでしょうか?優先順位は上なのでしょうか?あるいは人の美しさとはどういうことなのでしょう。

自分が醜男で、おそらくこのような美しい方とご一緒したら、それこそ美女と野獣になってしまうからのひがみなのかもしれません。

そんなことはさておき、この番組で出た「オールオンフォー」というインプラントの手法は、このような形で取り上げられるほど簡単なものではないのです。基本的なシステムはもちろん素晴らしいところもたくさんあるのですが、問題も多く抱えていることも事実はなのです。

先日も私が師と仰ぐ先生の御講演で、他の施設で行われたオールオンフォーがすぐに駄目になってしまい。その後始末をされたお話がありました。このことについてはまた後日掲載させて頂くとして、

この先生は、人間性、技術、知識に富んでおり、本当に心から尊敬できる数少ない方、イチロー選手が王監督の引退にさいしコメントされてた言葉の野球界をインプラント界に置き換えて表現できるような方なのです。そして悔しいことに容姿も素晴らしいのです。

その先生も「オールオンフォー」については、懐疑的に見られているところもあるのです。

長くなりましたが、私が申し上げたかったのは、テレビに出たからそれがすべてではないということ、私も何度か取材を受けたことがあるのですが、取材には時間をかけて頂けるのですが、なかなかこちらの真意をうまく伝えてもらえないことがあるようです。オールオンフォーは今歯科医療界ではブームになっていることは事実だが、問題もたくさんあるということを知って頂きたいのです。

モラルという言葉は、どこへ行ったのでしょうか?
インプラント手術で死亡 遺族、歯科医院を提訴という記事が昨日配信されました。
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産経新聞
 東京都中央区の歯科医院で昨年5月、人工歯根を埋め込む「インプラント手術」を受けた女性=当時(70)=が手術中に大量出血し死亡した事件で、女性の遺族4人が歯科医院と男性院長を相手取り、約1億9000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしていたことが25日、分かった。一方、警視庁は業務上過失致死容疑での立件に向け、詰めの捜査を進めている。

 インプラントは、歯茎からドリルで穴を開けてあごの骨に人工歯根を埋め込み、人工歯根に義歯を装着する外科手術。入れ歯に比べてかみ合わせがよく、見た目がきれいなことなどから、利用者が増えている。院長は、国内のインプラント手術の先駆者として知られる。

 訴状などによると、女性は昨年5月22日、手術中に出血が止まらなくなり容体が急変。近くの総合病院に搬送されたが、すでに心肺停止状態で、翌23日に死亡した。司法解剖の結果、死因は口腔(こうこう)内の出血などによる窒息死と判明。ドリルであごの骨を貫通し、動脈を切断、大量出血していた。

 遺族によると、院長は当日は体調不良だったといい、手術ミスを認めているが、和解に向けた話し合いが進展していない。遺族は「手術は、体調が万全な状態で行うべきだ。その後の対応にも誠意が感じられない」と話している。

 歯科医院側は「訴状を見てから考えたい」としている。

上記がこの記事の全文となります。                                                                                     

昨年にも、この事件に関しての私見をこのブログに載せました。その時も今回と同じようにアクセス数が突然上がり、お問い合わせもいくつかいただきました。

まず、お話しさせていただきたいのは、このような記事が出たことに便乗しアクセス数を上げるためにこのようなブログを書いているのではないことを十分ご理解いただきたいと思います。

おそらく皆さんは、このような記事を読まれると、とても不安になってしまうと思うのです。そしてその後に様々な憶測が飛び交い、事実とそうでないことが入り混じってしまい、報道もそれに便乗し、あるいは助長し、ややもすれば事実を捻じ曲げてしまうことになりかねません。不安が不安を呼び、間違ったことにならないようにするためにこのブログがお役にたてばと思い今回もまたブログを書かせていただきました。

今日は、前置きが長くなりましたので、簡単に書かせていただきます。

今回、皆さんにご理解いただきたいことは、大変残念なことですが、このような事故は起こりえるということです。過去にも解剖学的に危険な部位であることは文献等で発表されています。

しかし、また逆を言えば、解剖学的なことを十分理解し、最近、注目されているフラップレス手術のようなことを避け、基本に準じた方法で手術を行えばこのような事故は、十分に防げるはずだということです。

これは、今回の事故が防げたと言っているのではありません。実際に起こったこの事故については、現時点ではいろいろな情報がありますが、私がそのことを判断できるわけではありません。

事故というのは、様々な要因から成すものであり、私が以前からお話ししているように、医療とは、実際には不確実なものなのであるということを前提に考えなければならないと思うのです。

一概に、報道されていることだけがすべてではありませんし、デバイスがかかってしまっている可能性が大きいと思います。ですから、今回の事故についての具体的な言及をしているのではありません。

しかし、だからといって、医療というものが不確実なことを前提に考えれば、事故が起きても仕方がないと言っているのでもありません。

う〜ん、自分でも少しまとまりがつかなくて、すみません。

ともかく、今回のブログでは、インプラント手術でこのような重大な事故が起こる可能性はあるということ、しかし、そのほとんどは我々医療者が注意すれば防げるのだ、ということをどうかご理解ください。

何か、ご不安なこと等がございましたらどうぞこのメールアドレスinfo@118.md

までご連絡ください。

8月も今週を残すだけとなりましたね。まだまだ暑さは厳しいですが、夏の終わりの気配が感じられますね。さて、今回は前回に引き続いて読売新聞の医療ルネサンスの記事についてです。

8月6日の読売新聞の医療ルネサンスに、「歯を失ったら」と題してインプラントに関する記事が掲載されていた記事に関するお話です。インプラントに関する不幸な記事が続いています。とても悲しい事です。
記事は要約すると
「都内の歯科医院で、下顎の奥歯にインプラント治療を受け、そのうちの一本の具合が悪いため再手術を受けたそうです。その結果、下顎の中を通る神経をインプラントがつき刺してしまい、その神経をねじ切ってしまい麻痺が起きてしまった。」とのことでした。

前回は、「下顎の神経の損傷」という事に付いては、下顎の奥歯の部分に対するインプラント治療の際に、一番注意しなくてはいけないことだという事がお分かりいただいたと思います。
特に奥歯を歯槽膿漏で失ってしまわれたような場合や何らかの理由で顎の骨が細くなってしまった場合は、残された骨の量が少なく、顎の骨の厚さや、深さが充分に取れない場合があるのです。
そのような状態で、無理をしたり、あるいは充分な術前の検査をすること無しに手術を施したりするとこのような事は充分に起こり得るのです。
逆に言えば、術前の検査を充分におこない、正確な診断をすることによってこのような偶発症は、殆ど防ぐことができます。
では、その為にはどのような検査が必要でしょうか?
まずは、基本的にパノラマエックス線撮影が必要になります。
この装置は、殆どの歯科医院にあるものです。これは上下の顎の状態をある程度(ここが大切です)正確に調べることができます。
しかし、この撮影方では、殆どの場合、実際のサイズよりも大きく映し出されてしまいます。その為、まず映しだされるエックス線画像が、実際にどのくらいの倍率になってしまうのか、それぞれの歯科医院でチェックする必要があります。
ちなみに当院のエックス線装置は、1,3倍の大きさになるように設定されており、実際の検証でも1,3倍の画像が映し出される事を確認しています。その拡大率から実際の顎の骨の大きさを判断し、適切な長さのインプラントを選択する事が大切です。
つまり、この倍率の確認が正確にできていないと想定と実際のずれが大きくなってしまい、今回のような事故につながる可能性があります。
また、この撮影では、患者さんの位置づけが重要で、その位置づけを誤ると映し出される画像に大きなひずみが生じてしまうのです。
ですから位置づけに付いても注意が必要で、得られた画像が少しでもおかしいと思ったら再度撮影が必要になります。
他にも、
撮影中に患者さん自身が動いてしまうこともあり、その場合も映し出される像にひずみが生じてしまいますので、撮影の際は、スタッフの指示に従うよう御協力をお願い致します。
もちろん、何度もレントゲンを撮る事はけして良いことではありませんが、事故を未然に防ぐためには御協力を頂く事がある事をお許し下さい。
ただし、最近の優れたタイプのエックス線装置は、患者さんがうけるエックス線の量も可能な限り少なくなるようになっており、殆ど心配はありません。
つまり、殆どの歯科医院にあるパノラマエックス線撮影装置を正確に取り扱うことで、診断の精度をあげていくことが出来る事になります。
この様にすれば、初歩的なリスクの回避が可能となりますが、それだけでは充分といえません。
その事については、次回にさせて下さい。

昨日は診療が終わってから、スタッフと一緒に当ビルの最上階にあるルークと言うレストランの屋上ビアガーデンに行ってきました。さすがに最上階という事もあり涼しく、眺めも素晴らしい中、みんなで暑気払いができました。時々みんなで飲み会を開くのですが、その時にいつも「当院のスタッフはみんな何をするにもパワーがあり、素敵だな」と思います。当たり前ですが、当院はこのスタッフみんなの力で成り立っています。大切にしなくてはいけませんね。

さて今回は、8月6日の読売新聞の医療ルネサンスに、「歯を失ったら」と題してインプラントに関する記事が掲載されていた記事に関するお話です。インプラントに関する不幸な記事が続いています。とても悲しい事です。
記事を要約すると
「都内の歯科医院で、下顎の奥歯にインプラント治療を受け、そのうちの一本の具合が悪いため再手術を受けたそうです。その結果、下顎の中を通る神経をインプラントがつき刺してしまい、その神経をねじ切ってしまい麻痺が起きてしまった。」とのことです。
では、まずこのような事は、簡単に起こり得る事なのかということです。
実は、「下顎の神経の損傷」という事については、下顎の奥歯の部分に対するインプラント治療の際に、一番注意しなくてはいけないことなのです。
特に奥歯を歯槽膿漏で失ってしまわれたような場合、残された骨の量が少なく、顎の骨の厚さや、深さが充分に取れない場合があるのです。
そのような状態で、無理をしたり、あるいは充分な術前の検査をすること無しにインプラント手術を施したりすると、このような事は充分に起こり得るのです。
また、今回の記述のように、一度埋め込まれたインプラントの具合が悪く、そのインプラントを取り去り、再手術によって新しくインプラントを埋め込む場合も注意が必要なのです。
なぜなら一つには、なるべく、インプラントがもとあった場所に近くに、新しいインプラントを埋め込みたいのですが、そこの部分はもとのインプラントの具合が悪くなった事によって、場合によっては、よりいっそう骨の量が少なくなってしまい、神経の管までの距離が、非常に短くなってしまう事があります。
また、最初に手術をするときには、治療計画の時点で、手術にとって有利な条件の部位にインプラントを埋めるようにするため、再手術の際は、条件が不利になる事もあるのです。
このような条件の場所に、再手術を行う場合には、前にあったところだから安心なのではなく、より慎重な検査と診断、そして手術が必要なのです。
他にもこのような偶発症が引き起こされることはあります。その事に付いては次回以降にさせて下さい。

                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について2
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について3
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について4
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について5
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について6
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について7
                                                                     

おはようございます、週末はいかがでしたでしょうか?台風も去り、暑さが厳しいですね。先週末は、東北の方へ出かけていました。そこで温泉に泊まったのですが、その時少し考えてしまったことがあります。
それは、温泉のはいり方なのです。
自分では若いつもりでいるのですが、私と同年代かそれ以降の人とその人たちが連れてくるお子さんのマナーがまったくなっていないことがあるようです。
お風呂へ入る入口のドアはちゃんと閉めない、身体も洗わず(せめて汗や汚れをながしてほしいものです)にいきなり湯船にはいる。隣に人がいてもかまわずばしゃばしゃと髪を洗う、びしょぬれのまま脱衣所にでる等々、いったいどうなっているのかと思ったのです。
おそらく、この人たちだって、周りに迷惑をあえてかけたいとは思っていないのではないでしょうか?ただ単にマナーを知らないだけ、あるいは知ってはいても身についていないのではないでしょうか?
私は子供のころ、銭湯に通っていたのですが、親父はもちろんそこにはうるさい(気のいい)人たちが沢山いて、今で言うマナー違反をするとしょっちゅう怒られていました。そのため、いつの間にか社会生活のマナーを身につけてもらえたのだと思います。
ところが内湯が当たり前の今、風呂の入り方一つを取ってもまわりを気にする必要が無いわけですから、たまの温泉で風呂の入り方のマナーなどしっちるわけ無いのですよね。
教えてもらえないという事、そして知らないという事が、このような事をまねいてしまうのだとつくづく感じてしまいました。
これは、私達の世界にもいえることで、例えばインプラントに関する事でも、自分ではそれが正しいと信じてしまっていたり、勉強不足で本当のことを「知らない」という事で、大変な結果を招きかねません。日々勉強にはげまなくてはいけませんね。
さて、今回は、気道内異物についてです。
私達の手術領域は「口の中」という環境で、これは気道の入り口でもあります。
つまり、場合によっては、気道をふさいでしまうことが起こり得るわけです。その結果として窒息を引き起こしてしまい、死に至らしめてしまうことが考えられます。
現実問題としては、手術中に器具等を誤って落としてしまい、それが気道に入ってしまうことは充分に考えられるわけです。
まして私達がインプラント手術で用いる器具は小さい物が多く、その取り扱いは充分注意しないと、大変落としやすく危険です。手術中は患者さんも大きく口を開けている事が多く、飲み込ませやすい状態でもあります。
実際に、器具、インプラント体等を誤って飲み込ませたとの報告は、いくつも報告されています。また、インプラントの手術中ではありませんが、歯科治療中に被せ物を、お口の中におとしてしまい、結果として窒息を引き起こして、患者が死亡した事例も報告されています。

では、実際にこのような事態を防ぐために出来る事です。
まずは、器具の取り扱いに充分注意をし、落とさないようにすること。
それでも落ちる可能性があるため、可能なものには糸を結び落としたとしても、飲み込ませないようにしたり、場合によってはお口の中にガーゼを一枚ひく事で気道に入り込む事を防ぐ事も推奨されています。
又、手術には複数のスタッフが参加し、手術する者意外は、それぞれが受け持つ吸引チップを常に意識し、万が一にも器具等を口腔内に落としてしまったら速やかに吸い上げるようにする事が大切になります。
そしてもし、口腔内に何か落としてしまった場合は、それが食道に入ったのか、気道に入ったのかを確認するために、レントゲン等の検査を受けるようにする事が大切です。多くの場合は、気道に入ってしまうよりはむしろ食道に入る事が多く、食道に入ってしまった場合は、殆どが便に含まれて排泄されてしまいます。

                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について2
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について3
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について4
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について5
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について6
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について8
                                  

前回のブログ
でもお伝えしましたが、ITの影響もあり、世の中には本当に多くの情報があふれていて、その力の凄さを感じます。そして、それに翻弄されないようにしなくてはいけないなと感じる事があります。これはインターネットのことだけではありません。
例えば雑誌です。最近話題になっている男性雑誌は、中年男性のスタイルについてふれていますが、よくよく考えると、これをすればかっこいいとか、これが今のトレンドだという言葉のもと、購読者の購買意欲をそそっているだけで、それが上手くいっているため、もの凄い数の広告が掲載されています。ビジネスとしての成功例としても注目されています。ただし、このような意図を知ってか、知らずにか、不惑の年齢以上のいいオヤジ(私もその一人です)が、惑わされ、踊らされ、それを楽しんでいます。
この事は、趣味の問題ですし、それを楽しめば良いわけで、そのきっかけを雑誌が作ってくれているのでしょうから、否定するつもりはもちろん、問題視するつもりもありません。
しかし、孔子がみたらどう思うのでしょうか?
私はバイクやクルマが好きで、よくそれらに関する雑誌を読みます。その中のインプレッションと呼ばれる記事の多くは、良いことしか書いていないことがあります。また、何台かを比べるインプレッションの場合は、その台数と同じ数の記者を設定し、それぞれのお気に入りは必ず均等になり、どれか一つが特別な賞賛をされないようにされている事があります。これは、おそらく広告主に対する配慮のためで、これは、出版に携わる方たちの努力が伺える事でもありますが、結果として購読者は、その行間を読まなければならいこともあります。
いずれにしても、情報とは、必ず出す側に、制約や、意図、デバイス、あるいは何らかの形で一方的な意見になってしまうようです。
このブログのようにスポンサー等の制約を受けないはずのものですら、何らかの意図があり、一つの立場からの物言いにすぎません。
あえて言わせて頂けば、わかりきったことですが、このブログは、馬見塚デンタルクリニックの宣伝です。
しかし、私達は、その一方で、この「健康歯考」というブログを、一般の方にとっての一つ「開業歯科医院の歯科医師、歯科衛生士、受付、スタッフが書いた世界で一番分かりやすい歯科の教科書」(この表現もベタですね)にしたいと思っております。
今後もどうぞ宜しくお願いします。
さて、前置きが長くなりましたが、本題です。
インプラント外科手術にともなう麻酔にかかわり、死亡にいたるような重篤な偶発症についてです。
基本的にインプラント外科治療は局所麻酔下で行います。この時用いられる麻酔薬に対してアレルギーのある患者さんがいらっしゃいます。このアレルギー反応が重篤だと呼吸困難から死亡に至る場合があります。
対応策としては、一度も局所麻酔を受けた事がない方の場合には、アレルギーに対するテストを受けて頂く事が一つの目安となります。
また、万が一にもアレルギー反応がでてしまった場合、それに対応できるようなトレーニングを受けた歯科医師、あるいは専門の麻酔医が処置にあたりその為に必要な器具、器材,薬品等が準備されている事、あるいは救急車を呼び迅速に対応する事が大切です。
そのためには万一に備え、スタッフは全員、救急対応のトレーニングを受け基本的な蘇生の対応が出来るようにしなければなりません。それと同時に緊急対応できる医療機関と医療連携等がとられている事も大切です。
局所麻酔以外にもインプラント外科手術においては、静脈内鎮静法という麻酔を併用する事があります。この方法は、全身麻酔とは全く異なり、意識を失う事もありません。麻酔のトレーニングを受けた専門の歯科医師が、管理をして行えばリスクもほとんどないといえます。逆に手術を受ける方にとってはリラックスした状態で手術を受ける事が出来ますし、私達としても患者さんの状態を直接管理するスタッフがチームに入る事で、より安全に手術が出来るというメリットがあります。
デメリットとしては、スタッフを増やす事、そして手術時間自体が延びる事はないのですが術前から術後までの準備、コントロール、そして覚醒にある程度時間を要するために、患者さんが院内に滞在して頂く時間が長くなります。
他にも場合によってはごく僅かではありますが、インプラント手術で全身麻酔が併用される可能性があります。
これは入院設備のある医療機関が行う方法であり、この場合は全身麻酔に伴うリスクがありますが、基本的には術前の検査と術後の入院等でリスクをコントロールする事で対応しているようです。
ちなみに当医院では、基本的に全てのインプラント一次手術には麻酔医もチームに参加し、術前に全身状態を把握させていただき、術中も全身管理のもとで手術を行っておりますが、全身麻酔は行っておりません。また救急対応の薬剤、器具器材等も準備しておりますし、救急対応医療機関として聖路加国際病院と医療連携をとっております。
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第7回健康歯考講座 インプラント編『インプラントの安全について』
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今日は、よいお天気ですね。やはり太陽の日を浴びるというのは気持ちのよいものです。梅雨明けはまだでしょうか?
さて、連日にわたり難しく、そして重たい問題についてふれさせていただいています。前回迄の三回の掲載でもおわかりのように、インプラント手術に伴い死亡事故の様な重篤な偶発症を引き起こす様々なリスクがある事、そしてそのリスクをマネジメントする事がある程度は出来る事が少しはご理解頂けましたでしょうか?
以前にも申し上げましたが、今回このような形でブログを掲載させて頂いているのは、決して起きてしまった事をとやかくいいたいわけではありません。当事者の皆様にとっては大変な事であり、回りがとやかく言う問題ではない部分もあると思います。
しかし、このブログがそうであるように、現代は恐ろしいまでの情報化社会となっており、あまりにも多くの情報があふれてしまい、その殆どが、ある一面からとらえたものになってしまっています。もちろんこのブログも一歯科医師が開業医として、またインプラントにかかわるものとして意見を述べているに過ぎないのです。ですから、受け取る側の人達の見方で、この情報も様々に解釈をされていると思います。わたくしが想像していた事とは別な形で解釈される事もあると思います。もちろんそれは致し方のない事ですが、出来うる事ならば私の意図も組んで頂けたらと思います。そして、その様な問題が起こる可能性があるにもかかわらず、掲載させて頂いているのは、わたくしが、一開業医ではありますが、学会等で医療の安全やリスクコントロールについてお話をさせて頂いたり、専門誌に論文を掲載させて頂いたりしている事も理由の一つです。
いずれにせよ、医療は安全で確実であって欲しいものですが、そこには限界があります。そして、その現実を直視しながら限界を超えていく努力を惜しみたくないのです。人間には無限の可能性があると信じています。ただし、例えば医療の場合ならば、医療従事者が独りよがりでいても仕方がないと思っております。やはり、患者さんと国民の皆様の協力と理解があって初めて成り立つものだと信じております。
今回の一連のブログでは、皆さんが医療の安全、そして、現代の歯科医療が抱えている問題について考えるきっかけとなり、我々、医療従事者に協力して頂ければ幸いです。
この伝えたい事すら本当に難しい問題で,私が文章にしてしまうと伝える事の難しさを感じます。文章の表現力があまりに稚拙なため、その表現に適切さを欠くことがありましたらお許し下さい。
ここで今回は、立場が異なると、同じ事に対して考え方が全く違ってしまう一例を、小松秀樹先生の「医療の限界」の1文を引用させて頂く事で参考にして頂きたいと思います。
医療とは本来、不確実なものです。
しかし、この点について、患者と医師の認識には大きなずれがあります。
患者はこう考えます。現代医療は万能で、あらゆる病気はたちどころに発見され、適切な治療を受ければ、まず死ぬ事はない。医療にリスクを伴ってはならず、100パーセントの安全が確立されていなければならない。善い医師による正しい治療では有害なことは起こり得ず、もし起こったなら、その医師は非難されるべき悪い医師である。医師や看護師はたとえ過酷な労働条件のもとでも、過ちがあってはならない。医療過誤は人員配置やシステムの問題ではなく、あくまでも善悪の問題である。
しかし、医師の考え方は違います。人間の身体は非常に複雑なものであり、人によって差も大きい。医学は常に発展途上のものであり、変化しつづけている。医学には限界がある。医療行為は、生体に対する侵襲(身体へのダメージ)を伴うため、基本的に危険である。人はいつか死ぬ。しかも医療は、いつも全てに対応できるような体制をとれない。
とあります。
この事について話し合ったり、意見を述べさせて頂くだけでも、どれほどの時間を要するか計り知れません。ただし、ここに記載されている事は少なからずわたくしも感じていることです。
なにか、難しい問題の投げかになってしまいましたが、今日は、ここ迄とさせて頂きたいと思います。
つづきはこちらをご覧下さい→
インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について1

                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について2
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について3
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について5
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について6
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について7
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について8
                                  

第7回健康歯考講座 インプラント編『インプラントの安全について』
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本日も、前回に引き続きインプラント外科治療に伴う偶発症、特に死亡事故に至る様なものについてのお話です。
止血が困難になってしまう事
皆さんが、歯を抜いたりお口の手術(インプラント等)をお受けになるとき、一番に心配されるのが出血の問題だと思います。
時々、「歯を抜いた後だけ血が止まり難かった。」というお話を伺う事があるのですが、これはどうしてでしょう?
なにか特別な事が起こってしまっていると思われやすいのですが、実は多くの場合は簡単なことで、実はほとんど血はとまっているのだけれど、カサブタの表面が唾液に溶かされ、その唾液が赤くなり血が止まっていないように感じてしまわれている場合が多いのです。身体を流れている血は全て同じで、お口の中だけ別の固まりにくい血が流れているわけではありません。ですから日常で怪我をされたときにちゃんと血が止まる方ならば、基本的に血液に止まる能力はありますからほとんど心配いりません。
しかし、慢性の歯周病で、歯がグラグラになるまで放っておいた様な場合、その歯を抜く事はとても容易い事なのですが、止血しにくい場合があります。それは、慢性の歯周病の様な場合、その歯の回りの歯ぐきが常に炎症を起こしてしまっていて、沢山の毛細血管が出来てしまっている事が多いのです。そうすると、量は多くはないのですが、にじむ様な出血がいつまでも続いてしまう事があります。この様な場合は、歯を抜いた時に、歯の回りの歯ぐきをしっかりと掻爬してあげる事が大切です。そうする事で、ほとんどの場合問題がなくなります。
またその他の場合でも、たとえ太い血管を傷つけないとしても出血が止まらない場合があります、その多くの場合が、何らかの病気(狭心症、脳血管疾患等)があり、血をとまりにくくする薬あるいは、血をサラサラにする薬を服用飲されている場合です。この様な場合は、止血が困難になることがあります。したがって事前に主治医と連絡を取り、現在の止血時間等から判断し必要に応じて休薬をして頂く事で対処する場合もあります。
また、極まれにですが、ご本人が気づかれないうちに、血液の病気(血が止まり難くなってしまう様な病気、白血病等)にかかってしまっていて、それを知らずに手術を受けてしまう場合があります。この様な場合には可及的、そして迅速に止血処置を行い手、状態によっては,手術は中断し然るべき医療機関に搬送する事が大切になります。
いずれにしても、お身体の病気が歯の手術(特に止血)に影響をおよぼす事がありますので、事前に歯科医師等と充分にお話をされたほうが良いと思います。
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インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について1

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                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について6
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第7回健康歯考講座 インプラント編『インプラントの安全について』
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 本日は、インプラントチームのブログ更新日ですが、私が割り込ませて頂きたいと思います。
 では、前回に引き続きインプラント外科治療に伴う偶発症、特に死亡事故に至る様な偶発症についてのお話です。
 2000年以降、インプラントのシステムは、急速に変化してきています。治療期間の短縮や手術法の変化、審美的な要求に対する対応、CTの読映の為のコンピュータソフトウェアーの開発とその進歩等があげられます。各インプラントメーカーがこぞって新しいシステムを開発しており、目を見張るものがあります。そして、それに伴い手術法も新たなものが開発されています。
 その一つに切らないインプラントシステムというものがあります。医科の世界で例えるならば内視鏡手術の様なものです。
皆様もおそらくご存知の内視鏡手術は、低侵襲手術の代表といわれています。実際に、開腹手術よりも傷が小さく、術後の痛みが少なく出来ることがメリットです。
しかし、実は開腹手術よりも「より安全」かというとそうとは限りません。いや、むしろ安全性の観点のみならば、開腹手術のが安全性は高いかもしれません。
実際に、手術する部位全体を確実に見渡す事が出来、制約されることが少ない開腹手術の方が安全性では優れているという意見もあります。
また手術後も、例えば痛みに関しては、医療、医薬品の進歩に伴いかなりコントロール出来るようになっているそうです。
実は私の身内も内視鏡の手術を受けた経験があるのですが、その手術の承諾書には、万が一の場合は開腹するとの項目がありました。また、新聞、テレビのニュース等でも、手術時における大きな事故の報告の多くが内視鏡手術のようです。
これと同じように、切らない、歯肉を剥がない、腫れないインプラント手術とされる「フラップレス手術」も低侵襲手術の代表とされています。
実際には、CTのデータを用い、コンピュータにガイドされる事によって手術の部位を確定したり、あるいはガイドでするためのマウスピースのようなものを作りそれを手術に用いて、歯ぐきを切ったり、歯ぐきを骨から剥がす事なしに手術を行うものなのです。基本的には多くの症例で、利用されよい結果を得られているようですが、しかし、過信は禁物で、この様なシステムもいくらコンピュータといえども完璧ではないのです。
確かに手術後の腫れは少なく、痛みに関しても多少少ないようです。しかし、このような「フラップレス手術」にたいして今迄の手術よりも安全性を高めたものだというアナウンスはありません。実際に、いくつかのトラブルが現在までに報告されています。
 どうも私達はコンピュータと聞くとそれは完璧なものと思いがちですね。システム上の誤差はそれが複雑になればなるほど様々な問題を引き起こす可能性があります。最先端のテクノロジーが導入されているであろう航空機の飛行に関してもパイロット(人間)が重要な役割を担っているように、いかなるシステムに対しても過信は禁物です。
例えば,コンピュータでインプラントの手術をガイドするようなシステムの場合、想定していた場所や,方向にインプラント体を手術で埋め込む事が、出来ないことによって、問題を引き起こしてしまった等の実際にいくつかの偶発事故の報告かあります。これも、間違えれば,血管の損傷を引き起こす可能性もあります。もちろん、このようなエラーが起こる確率は大変低いもので、通常の手術では殆ど問題が無いと言えるでしょう。しかし、手術が難しくなればなるほど、誤差の許容範囲は少なくなるわけですし、例えほんのわずかとはいエラーが起こる確率があるとするならば、その事を前提に準備を行ない、処置を慎重に行なう必要があるのではないでしょうか。
 ですから、この新しいシステムがダメだと否定しているのではありません。むしろ、新たなシステムとは、手術をより安全、確実で、そして患者さんのみならず、われわれの負担も軽減するものでなくてはならず、それを拒む者などいるはずもありません。
 しかし、最近のインプラント関連企業からのインフォメーションは、それをあたかも万全であるかのように謳ってしまい、その情報を受ける医療者側も簡単に鵜呑みにしてしまう傾向があるようです。
どの様なシステムであったとしても、問題が起こる可能性がある事を念頭にいれ利用すれば良いことなのです。
 私達医療者は、プロフェショナルなのですから、新しいシステムであろうと、優れたシステムであろうとそれを利用する事によって、例えば手術をより良いものにする為にそのシステムを上手く利用する事が大切です。
しかし、それらのシステムに頼ってしまうのは問題だと思います。例えば自らの未熟さを何らかのシステムに補ってもらうためだけにそのシステムを利用するならば、もしもそのシステムにエラーが起こってしまったら大変な事になります。
 また、新しいシステムを用いるという事は、たとえその利用者がベテランだとしても、そのシステムに対しては、ビギナーな訳ですから慎重さが必要だと私達は考えているのです。
 新しいシステムの導入に伴う事故を防ぐ為にも、まずはそのシステムが科学的な裏づけがあるのか、又それは信頼出来うるものか充分に検証し(大変残念なことですが、私達から見ると最近発表されたシステムには、充分な研究期間を経ていないようなものも存在しているように思えるのです。)その上でシステムの内容を熟知することが重要です。そのシステムを利用するにあたっては、充分な手術時間をとり、余裕を持って手術を行う事が大切ですね。
つづきはこちらをご覧下さい→
インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について1

                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について3
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                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について5
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について6
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について7
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第7回健康歯考講座 インプラント編『インプラントの安全について』
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7月14日7時1分配信 産経新聞

 東京都中央区八重洲の歯科医院で今年5月、人工歯根に人工の歯をつける「インプラント手術」を受けた、都内に住む会社役員の女性(70)が、手術中に出血し死亡していたことが13日、分かった。警視庁中央署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、遺体を司法解剖するなど捜査を始めた。
 調べでは、インプラント手術は歯茎部分を切開するなどして人工歯根を差し込んだ上に、義歯を装着する外科手術。女性は5月22日、60代の男性院長から手術を受けている最中に出血が止まらなくなり容体が急変。すぐに別の病院に運ばれたが翌23日に死亡した。
 警視庁は出血と死亡との因果関係を調べるとともに、手術に問題がなかったか、院長らから事情を聴いている。

という記事が掲載されていました。

まず、何よりも亡くなった患者様のご冥福をお祈りしたいと思います。

そして、この記事を読まれた方の多くは本当に驚かれたのではないでしょうか?
「インプラントってそんな恐ろしいものなんだ。」
「多くの情報では安全だと言っていたのにいったいどういう事なのだろう?」
「インプラント治療を受けるつもりだったのだけれど不安でしょうがない」
等のお気持ちをお持ちになられているのではないのでしょうか?
実は、この報道に関しては、以前より私どもの所にも多少なりとも情報がありました。この事実を受け、歯科医療、ましてやインプラント治療にかかわるものとして、皆様に対し何らかの正確な情報をご提供しなければならないと考えておりましたが、ある程度、公になってからコメントすべきと考え現在に至っております。

今回の事実の詳細等に関しては、警察等の関係機関からの発表を待つしかありません。
しかし、インプラント手術において死亡事故が発生してしまった事はまげることが出来ません。またその事をうけてなにか詮索めいたと事をしたいわけでも、憶測でものを言ってうわさ話に興じたいわけではありません。
冒頭にも述べましたが、何よりも亡くなった方のご冥福をお祈りする事が第一だと思っておりますが、医療に携るものとしてはこのような事が二度と起こらぬ為にも、また一方的な報道等がなされてしまう事によって間違った認識を皆様がされてしまわない為にお手伝いが出来ればと思いこのブログを掲載致しました。

さて本題です。

インプラント手術に伴い生命を脅かす様な偶発症にはどのようなものがあるのでしょうか?
一番考えられる事は、オトガイ下動脈、舌下動脈の損傷が考えられます。下顎の比較的前の方に手術を行う場合に、舌側の歯ぐきを剥ぐ時にこの動脈を傷つけてしまったり、また逆に充分に歯ぐきを剥がずに骨にドリルで穴を開けてしまい、その際に方向がずれている事に気づかず、ドリルが骨を飛び出してしまいドリルでこの血管を損傷させてしまう事があります。とくに、十分に歯ぐきを剥ぐ事をせずにドリルで血管を損傷させてしまう事が問題です。そして、損傷した血管から出血が起こり血液が舌の下の、のどの周りに溜まってしまい、気管を圧迫して窒息を引き起こしてしまう可能性があります。
この事実は、私の知る限りでも1986年のKrenkel&Holznerの文献を筆頭に10以上も発表されています。逆に言うと生命を脅かす様な出血の偶発症のほとんどは下顎の前歯に近い部分の手術時に起こりえる事だと言えます。

この様な事故を防ぐ為には、まずは充分な手術時間をとり、余裕を持って手術を行う事が大切です。その為、例えば当院では基本的に一日の行う手術は、午前と午後の2回に限定しています。そして手術に際しては、丁寧な剥離操作(丁寧な歯ぐきを剥ぐ操作)を行うことと、歯ぐきを剥がすならば確実に行う事が大切です。また可能な限りCTの撮影を行ない術前に骨の形態を十分に把握しておく事も大切になります。
また、質,数ともに充分なスタッフと共に手術を行うように心がける事が重要です。可能であれば、麻酔の専門医もチームに入れる事で手術中の全身管理等も確実になります。この様な準備が出来ていれば、事故が起こる可能性を限りなく低くする事が出来、基本的にはインプラント手術とは安全なものになるはずです。
しかし、残念ながら医療上の偶発症をゼロにする事は不可能に近いとも言えます。ですから、あってはいけない事ですが、もし事故が起こってしまったとしてもその事故に適切にそして迅速に対応するように日頃からトレーニングを怠らず、万が一の事を想定し病診連携等を確実にとる事も大切です。

今回の新聞報道に伴い、インプラント治療における重篤な偶発症とその対処についての一例をお話させて頂きましたが、これは今回の報道と直接関係するものではありません。また、今回のブログで偶発症のすべてを記述出来ているわけではありませんが、皆様が抱かれている不安がすこしでも小さくなることにお役に立てればと思っております。
今後も少しでも多くの正確な情報を皆様にお伝えするようこのブログ等を利用して努力していきたいと思っております。
どうぞ宜しくお願い致します。

つづきはこちらをご覧下さい→ インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について2
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について3
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について4
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について5
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について6
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について7
                                   インプラント治療に伴う死亡事故の新聞報道について8
                                  

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