馬見塚デンタルクリニック
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アナフィラキシーショックとは?

昨日の続きです。

今日はアナフィラキシーについてです。

日常では、そば等を食べて起きる重篤なアレルギーやハチに刺されて起こるアレルギーで亡くなる方がいるのも、このアナフィラキシーが原因の場合があります。

歯科治療上でも、局所麻酔薬や使用される薬品(抗生物質、鎮痛剤、その他)に対するアレルギーで、このアナフィラキシーショックを起こすことがありますから、受診の際は問診表等に過去のアレルギーの既往や、局所麻酔の経験の有無をちゃんとお伝え下さい。

アナフィラキシーとは、簡単に言うと アレルギーの一つなのですが、とても怖い反応を起こし対処が遅れると死につながるものなのです。

普通のアレルギーたとえば花粉症と同じように、くしゃみ、鼻水、鼻づまりのような症状も出るのですが、それ以外にもいろいろなことが起こり、とくに怖いのが、気道が詰まって窒息を起こすことがあるのです。その他にも不整脈の様な状態から心臓が止まってしまうことも起こるのです。

 もう少し詳しくお伝えすると臨床上では、原因となるもの(特定の起因物質)によって引き起こされた身体中が起こした(全身性の)アレルギー反応を指します。

 アレルギーの起こり方は、最も重篤でそのためアナフィラキシーショックという言い方もされているのです。

 症状は基本的には、血管が拡張し血漿(けっしょう)成分が血管の外へ漏れ出ることによります。それに加えて、他のショックと異なり、気道がつまり呼吸が困難になります。

それは、気道の平滑筋(へいかつきん)が収縮したり、気道がむくみを起こしたり、気道や鼻腔の分泌物が増加することによる気道がつまったり、ジンマシンなどのアレルギーの症状が現れます。

症状
 口腔内の異常感、 口唇のしびれ、 のどが詰まった感じ、 物が飲み込みにくくなる(嚥下(えんげ)困難感)、 両手足末端(手先、足先)が「しびれたり冷たくなる、 心臓の鼓動が速くなる、 悪心(おしん)、  耳鳴、 めまい、 胸部不快感、 虚脱感(きょだつかん)、  等様々な症状が起こるといわれています。

 また、俗に言われるアレルギーと同じように  

くしゃみ、 せき、 鼻水、 涙目、 皮膚紅潮、 ジンマシン、 まぶたや口唇のむくみなどがおこります。

そしてさらに、急激な血圧低下、循環不全に伴う意識障害、あるいは気道が狭くなることによる呼吸困難、チアノーゼが現れます。

そして、結果的に、気道が狭くなることによる窒息が起こることがあるのです。 

当院では、このブログの他に、予防に関するブログインプラント治療に関するブログ、そして当院とはどんなところなのか(就職、採用)に関するブログがあります。よろしければそちらもご覧になってみて下さい。

また、当院のHPもよろしくお願いします。

青森の女児ら歯科医提訴 「処置怠り植物状態に」

2009年7月2日   提供:共同通信社

 虫歯治療中の麻酔注射で急性アレルギー症状を起こし植物状態になっ
たのは適切な処置を怠ったのが原因として、青森市の女児=(8)=と
母親が1日までに、同市の歯科医院と歯科医に約1億4300万円の損
害賠償を求める訴訟を青森地裁に起こした。

 訴状によると、歯科医は昨年8月、女児に麻酔薬を注射。「アナフィ
ラキシーショック」というアレルギー反応でけいれんを起こした女児に
同医院は速やかに人工呼吸などを行わず、救急隊への連絡も事故後約3
0分経過していたことから重大な障害が残ったとしている。

 歯科医の代理人は「直ちに近くの内科医を呼んで心臓マッサージや人
工呼吸を行い、適切な薬を投与した。過失はない」と主張している。

ということがありました。

事実関係もわからないため、この件に対するコメントは、できませんが、歯科医院で麻酔を注射したことで、このようなことがなぜ起こったのかについてコメントをさせて下さい。

実は、歯科治療で用いる局所麻酔薬にアレルギーを起こしてしまう人がいます。今回のこの子もおそらくそのアレルギーによって一種のショック状態(アナフィラキシーショック)になり、その結果植物状態に陥ってのだと推測されます。

このようなことを防ぐ為には、もし今まで一度も歯科で局所麻酔の注射を受けたことがなければ、その旨を担当歯科医師に必ず伝えて下さい。

多くの場合は、比内テストというアレルギーを調べる事をすることになるか、あるいは他の病院施設で、麻酔薬等に対するアレルギーのテストを受けていただくことになります。

これは、子供に限らず成人でも同様です。

当院では、このブログの他に、予防に関するブログインプラント治療に関するブログ、そして当院とはどんなところなのか(就職、採用)に関するブログがあります。よろしければそちらもご覧になってみて下さい。

また、当院のHPもよろしくお願いします。


2009年6月30日の毎日新聞の記事に関する情報です。

あごの骨の壊死 がんや骨粗しょう症治療薬の副作用で発症する可能性…というものがありました。

以下になります。

 ◆あごの骨の壊死 がんや骨粗しょう症治療薬の副作用で発症する可能性。
厚労省も注意を呼びかける。

 ◇「骨を守る薬」が逆に 投与中の歯科治療注意

 ◇口の中の違和感/歯ぐきに骨露出/歯の脱落…

 問題が指摘される薬は「ビスフォスフォネート」系薬剤。発症率は高くない
が、治りにくく、重症化して生活に支障の出る人もいる。厚生労働省も5月、
「重篤副作用」として、対応マニュアルを策定した。

 ●破骨・骨芽細胞が死滅

 骨は一見、無機質なカルシウムの塊のようだが、実は骨を壊し続ける「破骨
細胞」と、骨を再構成する「骨芽(こつが)細胞」という2種類の細胞活動が
均衡を保ち、常に生まれ変わっている。この両細胞が死滅するのが骨の壊死
(えし)。「腐骨」と呼ばれる残骸(ざんがい)が異物として体外に吐き出さ
れたり、雑菌の温床となって化膿(かのう)する。

 ビスフォスフォネートは、骨粗しょう症の飲み薬として一般的なほか、乳が
んや前立腺がんなどの骨への転移を防いだり、骨髄腫などの注射薬としても広
く使われる薬の総称だ。この「骨を守る薬」が逆にあごの骨を壊死させたと0
3年、米国で初めて報告され、3年後には報告が世界で2500人を超えた。

 ●発症率、注射で1%

 詳しい原因は不明で、発症率は注射で1%前後、飲み薬で0・01-0・0
4%とする豪州の調査もある。注射と飲み薬では骨への吸収量が約50倍違う
ためらしい。

 歯ぐきなどに骨の一部が露出したり、腫れたり痛むといった症状が多いが、
症状がない場合や「なんとなく口の中に違和感がある」程度のこともある。重
症になると、上あごに大きな穴が開き、口から鼻へ水などが入ったり、歯が抜
け落ちる場合もあるという。

 国内初報告を行った社会保険船橋中央病院(千葉県船橋市)の高橋喜久雄副
院長(歯科口腔(こうくう)外科)は05年、口の中の皮膚が破れ、上あごの
骨の一部が露出した81歳の女性患者を初めて診た際、「転移がんと思って疑
わず、何度も精密検査した」と話す。当時、患者は乳がんの転移を防ぐためビ
スフォスフォネートの注射を受けていたが、薬の副作用は想像外だったという。

 米の報告例を知って他の薬に切り替えたところ、2年後に約6センチの骨片
がポロリと取れて口の中は元に戻った。しかし、これは良い例で、有効な治療
法はまだないのが現状だ。一定期間休薬したり、うがいや化膿止めで口の中を
清潔に保って経過を見る治療が主だという。

 ●糖尿病患者も要注意

 不思議にも、壊死が起きるのはあごの骨だけだ。高橋医師は、もともと口の
中は常在菌が多いほか、あごの骨を覆う口の中の皮膚は薄く、歯の周囲から感
染が骨に及びやすいといった条件が重なるためだと推定する。

 このため、ビスフォスフォネートの投与中に抜歯やインプラント、歯槽膿漏
などの歯科治療を受けた人は特に注意が必要だという。抜歯後には発症率が
8-9倍上がるとの調査もあり、厚労省のマニュアルでは、若年性リウマチな
どでステロイド薬を併用している人や糖尿病患者も要注意とされる。予防が重
要で、患者はビスフォスフォネートを使っていることを歯科医に必ず言うこ
と、年1、2回は歯科検診を受け、常に口の衛生状態に気をつけること――と
高橋医師は説明する。

 最近では、骨が壊れると成分のコラーゲンが溶け出すため、血液中のコラー
ゲン濃度を測って適切な休薬期間を取る予防法の研究も始まった。一方で、米
国で07年、骨粗しょう症の注射薬が認可されるなど、骨への吸収力を高めた
薬の開発も進んでおり、「今後より一層注意が必要になる」と高橋医師は訴え
る。【山田大輔】

………………………………………………………………………………………………
………

 ■早期発見のポイント

・口の中の痛みがなかなか治まらない

・歯ぐきに白や灰色の硬いものが出てきた

・あごが腫れてきた

・下くちびるがしびれた感じがする

・歯がぐらついてきて、自然に抜けた

 →すぐに医師や歯科医に相談を

 ■主な予防・治療策

・ビスフォスフォネート投与前に歯科を受診し、抜歯など必要な治療は済ませ
ておく

・歯磨きやうがいを行い、口の中の衛生状態に気をつける

・定期的に歯科検診を受け、口の中をチェックしてもらう

 (骨壊死が始まっている場合)

・化膿や痛みがあれば抗菌薬で治療する

・医師に十分相談した上で可能ならビスフォスフォネートの投薬を一時休止する

・腐骨を切除する

 =厚生労働省マニュアルより
結論からいうと、骨粗鬆症の治療を受けている方は、歯科治療を受ける際にには必ず、その旨を担当歯科医師に伝えることが大切です。

特に、外科的な抜歯やインプラント手術に関しては注意が必要です。

インプラントに関しては、こちらのブログHPをご覧になったみて下さい。

2009515日付けの朝日新聞に 

 親がタバコ吸うと子の歯ぐき真っ黒  岡山大チーム調査

という記事が掲載されていました。

今回もこの記事に関してのコメントを掲載します。記事を黒字で、私のコメントを赤字で掲載します。

 父親など同居する家族に喫煙者がいると幼稚園児や小学生は虫歯になり易くなったり、歯肉が黒ずんだりする傾向のあることが、岡山大学の下野勉教授(行動小児歯科学)の研究チームの調査でわかった。

 受動喫煙が影響している可能性があるという。14日から大阪で開催中の日本小児歯科学会で発表した。

調査は、幼稚園児85人と小学生166人の計251人を対象にした。その結果、幼稚園児の約3割(23人)、小学生の約3割(51人)で歯肉が黒ずんでいた。

このうち、約8割の幼稚園児19人、約7割の小学生37人は、父母など家族が喫煙者だった。

また、小学生の歯肉の黒ずみ度を調べてみたところ、健康な歯肉の児童でも家族の5割弱に喫煙者がいたが、最も黒ずみのひどい児童らのグループでは全家族に喫煙者がいた。

ということですが、実際に喫煙者自身の歯肉は黒ずんでしまうことが多いという研究は過去にも多く発表されています。外来でも、実感として喫煙者は歯肉が黒ずんでいることが多いのは確かです。しかし、受動喫煙でこのようなことが起こっているとしたらやはり問題ですね。また、喫煙は肺がん等のリスクを高めるだけでなく、歯周病の進行にも大きく関与しているといわれています。

また、虫歯になりやすくなっていることも示唆された。口の中の細菌の特徴から虫歯になる危険度を調べると、最も危険度の高いグループの6割は家族に喫煙者がいたが、低いグループでは4割にとどまっていた。

チームは、煙からの防御反応で歯肉が黒ずむのではないかとみている。また、たばこの煙によって唾液の量などが減り、虫歯の原因となるミュータンス菌が増えた疑いがあるという。

現段階では、この様な受動喫煙と虫歯の発症の因果関係ははっきりしないと思うのですが、ここで皆さんにご理解板きたいことがあります。それは唾液の量が減ることが、虫歯菌を増やしてしまったり、虫歯になりやすいい環境になってしまうといことなのです。何らかの事(病気、ストレス、服用薬等)が原因で唾液量が減ることがあります。それに伴い、虫歯は発症しやすくなってしまうのです。お口が渇くということは歯にとっても、問題なのです。

調査した岡崎好秀・岡山大講師は「まだ、因果関係ははっきりしないが、子供に悪影響を与えないためにも禁煙して欲しい」と話している。

受動喫煙は、虫歯云々の前に、けっしてよいことではありません。喫煙者の方は可能であれば禁煙をしていただくか、少なくともマナーを守って(相手は他人だけでなく家族に対しても)喫煙していただきたいものです。  

レーシックで67人感染症 19歳女性失明の恐れも 

前回の続きになります。今回は、感染症を引き起こす細菌のお話です。

細菌は、皆さんにとって悪ものでしょうか?もちろんこのような感染症を引き起こす場合は悪ものですが、実は私たちは、この細菌たちを利用して恩恵をうけていることもあるんですよ。例えば、発酵です。これは微生物が栄養を分解した時に、その結果として生じるもので、酒や、醤油、味噌、というものからさらにはビタミンや抗生物質などもこの発行という作用を利用して製造するんです。そして、この作用が人間にとって有毒な物質と悪臭のある気体を作ってしまうと、腐敗と呼びます。

つまり、細菌は我々に取って敵にも味方にもなるんですね。つまり私たちは、この微細物達と上手く付き合っていかなければいけないのです。こんな、事件が起こったばかりですが、基本的には、日本人はキレイ好きで、下手をすると度が過ぎてしまっている場合もあるように思います。実は、キレイキレイ症候群と呼ばれるものがあります。細菌をただ悪いものだととらえ、何でもかんでも殺菌、消毒、抗菌コートしている。そしてそれを売りものにしている製品がたくさん出ている。医療レベルではなく、一般生活のレベルでは、たとえば手洗いや、食器洗いで、殺菌、消毒、抗菌のレベルが必要だとは思えないのです。それなのに、何でもかんでも殺菌、消毒、抗菌となってしまう。

これ、実は問題なんですね。例えば常在菌という菌がいます。これらは、健康な生活を営んでいる私たちの皮膚、お口の中あるいは腸内など様々なところに生息しています。そして、実は私たちは、この常在菌の恩恵を受けながら生きているのです。例えば、皮膚にいる常在菌のおかげで、皮膚が弱酸性に保たれたり、腸内細菌のビフィズス菌のおかげで、腸内環境が保たれたりするという事があります。もちろん、常在菌の中でも、たとえばお口の中にいる、ミュータンス菌という菌は、残念ながら悪玉菌で、今のところ多くの研究では、可能ならば選択的にこの菌を取り除くことが、虫歯予防に役立つと言われています。

そして、たとえば、日本の医療上の大きな問題とされているものに、耐性菌問題というのがあります。これは、過去にあまりにも抗生物質を多用してしまったが為に、ある種の抗生物質が効かない菌が出てきてしまっているという問題もあります。

また、たとえば、擦り傷や切り傷を負った時、多くの皆さんは、直ちに消毒し、絆創膏をはって、傷口は乾かした方が良いと考えています。しかし、近年世界的に注目されている治療では、傷口は、出来れば生理食塩水、なければ水道水で充分に洗い、出血がある場合は、清潔ガーゼあるいは、タオルで押さえて止血をし、その後ワセリンを傷口に塗って、ラップで巻くという方法(モイストヒーリング法)が主流になっているのです。この方法でも、消毒薬を使わないのは、消毒薬は、細菌を殺すだけでなく、再生していくための体の細胞もダメージを与えてしまうとの考えが支持されているからなのです。もちろん、破傷風菌が存在するような場合は、しっかりと消毒が必要です。

こう考えると、私たち人間は、上手く微生物(ほんとは微生物だけでなく地球環境全てですね)と付き合っていくことも必要になります。ですから、一般の方は、日常生活ではあまり神経質なるのも問題ですし、逆に我々医療従事者は、細菌その他、感染性微生物等を十分に理解し、適切な形で、治療、感染対策等に対処していく必要があります。

では、歯科医院での感染対策は、現在どのようになっているのでしょうか?これも基本的には、ほとんどの場合が安全であると思います。例えば、一般の歯科治療の殆どが、特に硬組織の治療で、病気の治療、つまり感染しているところ、あるいは細菌を取り除く治療というレベルで考えれば、今の日本のガイドラインを遵守していれば(ここが大切ですね)大丈夫です。

ただし、最近、注目されている、歯科インプラント治療を、インプラント体という異物を生体内に埋め込む治療という観点からとらえると、少し疑問が出てきます。簡単にいうと、日本のガイドラインでいう感染対策だけでは、厳密には、例えばヨーロッパの国では、インプラントができない場合もあるんです。もう少し厳格に、レベルの高い感染対策を施す必要が出てきます。

諸外国とこのような違いがあるのは、いろんなバックグラウンドがあることは確かですが、細菌も人もそして感染のメカニズムもほとんど違いがないことを考えると、もろ手をあげて安心とは言い難い部分もあるかもしれませんね。

また、時々、マスコミ等にも取り上げられているようですが、医療者の一部には、感染対策に無頓着な人間もいるようです。今回の件も、このような事が、起因しているのかもしれませんね。このことを機にもう一度、我々医療従事者は、感染対策等について単にマスコミに踊らされるのではなく、専門家としてしっかりと考えていくべきでしょう。

当院は、インプラント治療もおこなっていることもあり、感染対策は日本の基準より厳しいヨーロッパの基準を満たすレベルで行っております。

レーシックで67人感染症 19歳女性失明の恐れも 

東京都中央区の眼科でレーザー光線を使い近視を矯正するレーシック手術を受けた患者67人が角膜炎などの感染症を発症した問題で、区保健所は25日、2人が入院し、19歳の女性は失明の恐れがある重症に陥っていることを明らかにした。

 保健所は医療器具の滅菌不足が原因と発表、23日から施設全体の使用を制限し、再発防止を指導した。という事がありました。

 この事実関係については、報道されていることでしか分かりませんが、おそらく皆様の中には、このことを機に医療施設の滅菌に対して不安をお持ちになっていしまう方もいらっしゃるでしょう。

 以前にも肝炎等の問題で、院内感染の事が取り上げられたことがありました。実は、この感染対策というのは思っているよりも難しい問題があります。それは、相手が細菌、ウイルスといった目に見ることのできないものであるということなんです。例えちゃんとやっているとしてもそれができているかどうかを目でみて確認する事が出来ないという事実を医療従事者が、どうとらえるかが大切になってくる問題です。

滅菌.png

 では、まず滅菌という言葉についてです。滅菌とは、全ての微生物が存在しない状態の事を表しています。
そして、感染、あるいは感染症とはどういうことなんでしょうか?
 

基本的に「感染」とは、病気を引き起こす可能性がある生物が体内に侵入すること(ステッドマン医学大事典より) をいいます。つまり身体の中に、何らかの病気を引き起こす可能性があ
る生物が入ってくることを表しており、人間がそのことに全く気付くことなく、何の症状も出ていないこともあるんです。この状態の事を潜伏期間なんていう事もありますね。そして、咳、くしゃみ、発熱、発疹、下痢などがでた場合を「発症、発病」と言い、「感染症」とは感染によって引き起こされた病気のことを表します。

今回は、この滅菌あるいは、感染対策が問題になります。基本的には、ほとんどの医療機関が、安心できるレベルであると思うのですが、調べたわけではないので、責任のある発言をすることはできません。

 私たちの医院でも感染対策への取組は、積極的に行っており、滅菌技師という資格をスタッフのうち4人が取得しています。一般の歯科医院でこのような資格を持つ必要は、全くありませんが、より安全な歯科医療の為にこのようなこともしています。滅菌という言葉や、院内感染対策については以下も参考にしてみてください。 

http://www.118.md/implant_0303.asp

http://blog.118.md/article/13145640.html 

http://blog.118.md/article/13147320.html 

http://blog.118.md/article/13149671.html 

http://blog.118.md/article/13150614.html 

http://blog.118.md/article/13151471.html 

http://blog.118.md/article/13157277.html 

http://blog.118.md/article/13158183.html 

http://blog.118.md/article/13201017.html 

http://blog.118.md/article/13211891.html 

http://blog.118.md/article/13111239.html

スポーツ歯科 アスリートにも口腔ケアは大切です。

前回は口腔ケアの仕方についてお話ししました。

口腔ケアを充実させることは、虫歯や、歯周病予防だけでなく、気道等の感染から体を守るためにも役に立つことが少しづつですが証明されてきているようです。前回もお話ししましたが、当院でも、在宅訪問の場で、寝たきりになった方の誤嚥性肺炎の予防の為に、口腔ケアのお手伝いを10年以上させて頂いている実績もあります。

また、私自身、運動が好きなこともあり、スポーツ歯科の勉強もしています。スポーツ歯科という言葉は、あまり聞きなれない方も多いと思いますが、少しずつ確立されてきている分野なんです。

今は、スポーツ歯科の主流はどちらこと言うとボディーコンタクトのあるスポーツ(選手同士がぶつかりあう可能性のあるスポーツ、例えばラグビー)で、選手にあったマウスピースを作ったり、パフォーマンスを向上させる目的で、咬みあわせを調整したりしていることが多いのですが、当院ではそれだけでなく、先週のコンディションの維持の為に、口腔ケアとして、セルフケアの指導とプロフェッショナルケア(PMTC)http://www.118.md/pmtc_1.aspを行うことを推奨しています。実は、皆さんが思っているほどアスリートはある意味健康ではないのです。日々のトレーニングによる疲労から抵抗力が落ちてしまい、カゼ等をひきやすい状態になっていることもあるんですね。

これを、読まれたアスリートの皆さん体調管理の一環として、口腔ケアも忘れずに行ってください。


ムシバラス小
今回は、インフルエンザ予防の為の口腔ケアについてです。
口の中の細菌を減らす口腔ケアのやり方についてです。
1.
基本的に、通常の歯磨きを丁寧にやることが大切です(できたら一度歯科衛生士の指導を受けましょう)。
2.
歯ブラシは通常普通から柔らかめの固さのものを用い、ペンを握るように軽く持ち、歯ブラシの毛先を歯の表面に垂直に軽く当てます。
3.
歯と歯肉の境目に入り込んでいる細菌を掻き出すイメージで、力を入れないように、そして歯ブラシを小刻みに動かすようにして歯を磨きます。ほとんどの方は、歯ブラシの動かし方が大きすぎます。そして、歯と歯のすき間は歯間ブラシやデンタルフロスを使うことをお勧めします。
4.
舌の上にも非常に多くの細菌が付着しています。そこで、歯ブラシを舌の表面に優しく当てるように、舌の奥(のどの方)から手前に向かって軽い力で、動かすようにして、舌の表面を磨いて下さい。慣れないうちは嘔吐反射が出ることもありますので、少しずつ頑張ってみてください。最近は、舌磨き用のブラシのようなものも、販売されています。
5.
全体のブラシが終わったら、最後に口の中全体をしっかりうがいして、細菌を洗い流すようにしてみてください。場合によっては、うがい薬を仕上げに使うことは良いと思います。
6.
しかし、ここで注意があります。お口に中にいる細菌を取り除くために、洗口剤、や含嗽剤(うがい薬)に頼るのは、注意が必要です。
7.
なぜなら、お口のなに生息する細菌は、浮遊しているモノだけでなく、歯垢という形で、歯の表面に付着しているものがあり、どちらかというとこの歯垢中の細菌を除去する事が、肺炎等の感染予防にも重要になります。
8.
しかし、残念ながら、歯垢中の細菌には、洗口剤、や含嗽剤(うがい薬)はほとんど効果がありません。原始的に思えるかもしれませんが、丁寧な歯ブラシが大切になります。
9.
出来ることなら、一度、歯科衛生士にご自身にあった歯ブラシや歯間ブラシを選んでもらい、歯ブラシの仕方、を教えてもらうと良いと思います。
10.
口腔ケアは、基本的にはお口の健康を守るために行うものですが、二次的効果として、気道感染の予防につながることも考えられます。皆さん、適切な口腔ケアで、健康な毎日をお過ごしください。
s-ムシバラス.jpg
また、テレビで歯科に関する放送がありました。実は私はほとんどテレビを見ないのです。このような情報を得るのは、ほとんどの場合スタッフが見ていてくれて、後でビデオ等で観させてもらっています。そのためタイムリーな反応ではないことをお許し下さい。
今回は、
2009
2
4
日放送の
NHK
ためしてガッテンの「緊急生放送! インフルエンザ最新対策」におけるインフルエンザ予防の為の口腔ケアについて
「東京都府中市にある介護保険施設で週
1
回、歯科衛生士が口腔ケアを実施し日頃からの丁寧な歯磨きや舌磨きの指導を行ったところ、インフルエンザの発症率が
10
分の
1
に激減した」というものがありました。
これは、とても素晴らしいことですね。そして、このことについては、私も同様の意見を持っています。
この番組で、放送されていましたが、
なぜ口の中をきれいにしておくと、インフルエンザにかかりにくくなるのでしょう?そのメカニズムは以下のように推定されているそうです。
鼻からのどにかけての粘膜はタンパク質の膜で覆われているため、ウイルスはなかなかくっつくことができないようになっています。
しかし、口の中にいる細菌が出す「プロテアーゼ」という酵素(タンパク質を壊すことができる物質)がタンパク質でできた膜を壊すことで、ウイルスが鼻からのどにかけての粘膜にくっついて、インフルエンザにかかってしまうと考えられます。
ですから、お口の中をきれい(細菌を減らす様)にすることで、鼻からのどの粘膜を覆っているタンパク質の膜を守ることが出来るのですね。
また、それ以外にもお口の中には、様々な細菌がいます。すべてが悪い細菌たちではないのですが、その中には、虫歯を引き起こすものや、歯周病の原因となるもの、そして、唾液に混じって気道に入り、特にご高齢の方や、体の抵抗力の落ちているような方の場合に、重症の肺炎(誤嚥性肺炎と呼ばれています)を引き起こす細菌なども多く住み着いています。
そのため、日常的に口の中をきれいにすることで、細菌を取り除いておくことが、様々な感染症を予防する対策として有効だといえます。
実は、この誤嚥性肺炎の予防の為に私たちは、在宅療養をされている方のところに訪問
http://www.118.md/c_sinryo_7.asp
し、口腔ケアのお手伝いをしています。特に、ターミナルケアの方を中心に訪問させて頂いています。そのことで患者さんの
QOL
の維持、安定、向上に多少なりとも役立っているのではと考えています。
寝たきりになった患者さんに対し、口腔ケアを積極的に行うことで、誤嚥性肺炎を防ぐことができるということは様々な文献に掲載されています。厳密な言い方をすると口腔ケアと肺炎の因果関係はこれらの研究をもとにしても、強い関係があるとは言いにくいという考えもありますが、口腔ケアがゆきとどかないことは、それ以外にもさまざまな問題を引き起こす可能性はありますし、患者の
QOL
を考えると必要になることが多いと考えています。
バイキング4.jpg

昨日の続きですが、虫歯の治療が一回の治療で終わるCADCAM治療は、現時点では保険診療よりは、材料の特性(歯の色に近く、安価な金属(保険診療で使われるもの)に比べ耐久性が良く、さらに固さが天然の歯とほぼ同じのため、年をとるごとに磨り減っていき、顎関節にも負担をかけない。生体と非常に調和のとれた噛み合わせを手に入れることができる等)は優れています。

そして、その適合性(削った穴に対するフィット)は、保険診療の平均的なものとほぼ同等かもしれないというレベルではないでしょうか。

被せものや、詰め物の適合性とは、削った部分とそこに詰めたり被せたりするものとがどのくらいぴったりとフィットしているかということで、これが悪いとそれは緩いということになります。そうするといくら接着剤でしっかりとつけたとしても、その隙間から細菌が入り込み、詰め物や被せ物の際から、また虫歯になってしまったり、接着材が唾液のよって溶かされて、外れてしまうということを引き起こすのです。

以上の点を考慮にいれると、今現在でも、一流の歯科技工士が丁寧に作った詰め物や被せ物がトータルでは、一番すぐれており、その次が一回の治療で終わるCADCAM治療で、残念ながら、保険診療の詰め物や被せ物が一番劣ってしまうといえます。 保険診療、自費診療の違いについてはこちらもご覧になってみてください。http://www.118md.jp/qa.asp#3 

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おもいッきりイイ!!TVで報道された、最新虫歯治療法 通常1週間かかる治療がわずか60分で! 一回の治療で終わるCADCAM治療とは?


昨日も、そして少し前の深夜番組でも、取りあげられた治療法です。これは、虫歯になった所を削るところまでは一般的な治療法と同じで、その後患者の削った歯のデータをコンピュータに取り込んで、被せものや詰め物を作る作業をするためスピーディーにかぶせ物ができる。すべて含めて60分くらいで完了するという画期的な方法として注目されているものです。

実はこのコンセプトはそんなに新しいものではなく、15年以上前から臨床応用されてきたものです。最近のものは、かなり精度があがってきており、世界中が今後のさらなる発展に注目している技術です。

 昨年のアメリカで開かれた学会で、その精度の比較検討がされた時の話ですが、「現時点では、CADCAM治療の精度はある程度容認できるレベルには達しているが、上手な歯科技工士のレベルには遠く及んでいない。」というのが偽らざる意見だそうです。

そこに加え、「アメリカでは、技工士の平均的なレベルが高くないため、それを考えるとCADCAM治療は、有用である」そうです。

しかし、日本の場合、今現在の歯科技工士のレベルは、アメリカと比べると高いレベルにあるので、CADCAM治療がどこまで有用なのかは疑問府がつきます。

保険診療のレベルよりは、ある程度高いレベルになると思いますが、一流の歯科技工士が、丁寧に作るものとは比較にならないレベルであることはまちがいありません。

確かに安価な金属(保険診療で使われるもの)に比べ耐久性がダントツに良く、さらに固さが天然の歯とほぼ同じのため、年をとるごとに磨り減っていき、顎関節にも負担をかけない。生体と非常に調和のとれた噛み合わせを手に入れることができる。という利点はあります。

つまり、CADCAM治療をどうとらえるかが問題で、けして夢のようにすばらしいものではないのです。

例えば、CADCAM治療は、ばらつきがなくいつも同じレベルのものが作れるが、人間が作る場合は、作る人間のレベルによって差が出てしまうということです。

そして、上手い歯科技工士が作ったものには、CADCAM治療の技工物は到底追いつかないということです。

ただし、これがインプラント治療における上部構造と呼ばれる被せもののフレームということになると、構造物の特性上CADCAM治療精度は格段に上がっていきます。事実上、優秀な歯科技工士が作ったものと遜色のないレベルで作ることができます。

やはり、「物は使いよう」ということでしょうか?

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おはようございます。
昨日今日と不自然なほどの温かさですね。インフルエンザも流行していますし、皆さん体調管理は、十分気をつけて下さいね。
さて、前回
11
27
日のブログ
http://blog.118.md/article/13356362.html
で、歯磨き粉の量についてお話をしました。
実は、先日のお昼休みにグラクソ・スミスクライン株式会社
のスタッフをお招きして、歯磨き粉、シュミテクトと知覚過敏そして、酸蝕症について勉強をしました。
以前にもお話しした通り、日本ではシュミテクトという名前で販売されているこの歯磨き粉は、世界ではセンソダインという名前で売られている、とても有名な歯磨き粉なんです。その効果も、広く知られていて、信頼に耐えうる歯磨き粉だと私は思っています。
そこで、メーカーの担当の方にお見え頂き、勉強をしてみようと思い今回に至ったわけです。
今回の勉強では、いろいろなことが、理解でき、また自分たちの知識の再確認をする事ができました。
まず、この番組では、知覚過敏の発生率が25%という話でしたが、発症頻度については、様々な報告があり、4〜74
%
とされているそうです。そして、グラクソ・スミスクライン株式会社の独自の調査ではおよそ25%の方が、何らかの形で歯がしみるという経験をしているそうです。
そして、知覚過敏が起こる原因として、不適切な歯ブラシはもちろんですが、それ以外に、
ph
の低い(酸性)の飲食物の取りすぎることや、
ph
の低い(酸性)マウスウォッシュの使用、過剰なホワイトニング治療、過剰な歯石取りなどによっても引き起こされるのです。
このあたりについては、また詳しく説明させて下さい。

今回は歯磨き粉の量についてです。

この番組では、歯磨き粉の量について、少なめが良いといっていましたね。確かに、今回のテーマである、知覚過敏の原因である歯の摩耗を防ぐためには、歯磨き粉の量は少ない方が良いですね。そして、歯を白くする為に含まれている研磨剤の入っていないものが良いと私も思います。

しかし、歯磨き粉の量も、実際にはその目的によって推奨される量が違ってきます。

まず、虫歯も歯周病も問題がない場合、使用する量は少なめで充分です。

また、歯周病がある場合は、可能な限り長い時間、丁寧に磨くことが大切になってきますので、ほとんど歯磨き粉は使わない方が、良いと言われています。

ただし、歯周病が進行してしまっている方の多くは、歯茎が下がって、歯の根が露出しています。歯の根は、エナメル質というかたいコーティングがされていないため、虫歯になりやすいのです。ですから、できれば、最初は歯磨き粉を使わずに全体を良く磨き、その後で仕上げに、フッ素の入った歯磨き粉を使い、泡をお口の中全体に行き渡らせるように磨いた方が、良いと思います。

そして、虫歯予防効果を期待する場合は、イエテボリ法というものがあります。スウェーデン、イエテボリ大学、カリオロジー学教室教授、ドーベン ビルケートが推奨しているものです。

これは、簡単に説明するとフッ素入りの歯磨き粉を量は多めに使い、歯磨き粉をお口全体に行き渡らせるように良く磨き、軽く一度すすぐ程度にすることで、お口の中にフッ素が残るようにすることで虫歯予防の効果を期待するというものです。

最近は、歯磨き粉にいろんな成分が含まれており、能書き上はいろんな効果がうたわれています。しかし、臨床的にその効果が広く評価されているのは、フッ素だと言えます。また前回お話したシュミテクトのような知覚過敏予防も効果があると言われています。

いずれにしても、やはりできれば、歯科医院で歯科衛生士に、指導してもらいましょうね。

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今日は、歯磨粉についてです。
今回の番組では歯磨き粉の量が、取り上げられていましたね。
量を考える場合は、その成分に注意する事が、まず大切です。
歯磨き粉に、含まれる成分の中で、注意していただきたいのが、研磨剤です。これは、歯の着色(最近はステインとよばれ、コーヒー、紅茶等の茶渋や、ワインの渋)を落とすためのもので、極端な表現ですが、流し(シンク)をきれいにするクレンザーのようなものです。研磨剤が入っていると、確かにこのような着色は落ちますが、加えて歯が削れてしまうのです。
ですから、基本的には研磨剤が入っていないものを使われることをお勧めします。
そして、歯磨き粉には様々な成分が含まれ、その効果がうたわれていますが、これらのほとんどは、実験上のことであり、実際に皆さんのお口の中で、それらがどれだけ有効かは、わからないものがほとんどです。
その中で、まずフッ素というものが、虫歯予防に効果があることが実証されていますので、このフッ素という成分が含まれているものを使われると良いかもしれませんね。そして、このフッ素入りの歯磨きを使った場合は、その効果を期待するために、歯磨き後、あまりすすぎすぎないようにし、お口の中にある程度の時間フッ素が停滞しているようにすることが推奨されています。
またもう一つ、知覚過敏用の歯磨き粉も最近は多く出ています。一例ですが、シュミテクトという歯磨き粉があり、これはずいぶん前から欧米ではセンソダインとい名称で発売されていたものです。実は、歯科医師になりたての頃、知覚過敏がある患者さんに、その当時日本には知覚過敏用の歯磨き粉がなかったため「もしアメリカの方に行く機会があれば、センソダイン(現シュミテクト)という歯磨き粉が売っていると思いますので買ってお使いになってみてください。と何度かお話しをしたことがよくありました。この歯磨き粉は発売期間も長く、国内のみならず海外での販売実績もあるものといえますね。
現在では他にもいろいろなメーカーから知覚過敏用歯磨き粉が発売されています。それぞれについては言及できませんが、ある程度の効果が期待できるのではないでしょうか

知覚過敏が起こる原因としてこの番組では、歯ブラシの仕方が不適切であったことが取り上げられていましたね。では、その不適切な磨き方とは、どういうことでしょうか、ちょっとおさらいしてみましょう。

まずは、歯ブラシの硬さについてです。

歯ブラシには、基本的に 柔らかめ、普通、硬めがあります。

一般的には、普通からすこし柔らかめの歯ブラシを使用する事が推奨されています。

あまり硬いもので、研磨剤が多く入った歯磨き粉を使い、ゴシゴシこすることは知覚過敏や、歯茎が下がる原因となります。

コマーシャルでも、現在の主流は、柔らかい歯ブラシです。しかし、柔らかすぎるのも問題があります。歯ブラシの目的は、歯の表面にこびりついた歯垢を取り去ることです。こびりついた歯垢とあえて表現したように、歯垢は実際には簡単にはとれるものではありません。磨きたいところにちゃんと毛先をあて、上手くコントロールするためにはあまり柔らかすぎるのは不適切です。最近流行の毛先が極端に細く、その毛先が歯周ポケットに入って、ポケット内の歯垢をも取り去る事が出来ると言われる歯ブラシも、理屈はそうでも実際に皆さんが使った場合に本当に上手くいくのかは、疑問です。

また、硬さを選ぶ場合に、歯茎がどれだけ下がってしまっているのか、歯周病の有無、歯並び、手の器用さ等も影響します。

基本的には、歯科衛生士に、ご自身にあった歯ブラシの固さを選択してもい、磨き方を指導してもらわれることが一番だと思います。

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さて、今回は。この番組の本題の知覚過敏についてです。
知覚過敏とはどういうことでしょうか?これは読んで字の如しで、神経が過敏になってしまう事を言います。通常歯がしみたり、痛んだりするのは虫歯などが原因ですが、知覚過敏の場合、虫歯等の問題がない歯でも起こってしまうのです。
今回の番組でも、原因は不適切な歯の磨き方でしたよね。番組では、
4
人に
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人が、知覚過敏だと言っていましたが、中には、冷たいアイスを食べるとしみるという方もいらっしゃいますが、このような状態を知覚過敏というのはちょっと過剰だと考えます。アイスのように冷たいものだとしみても、それは病気ではなく何も問題がないこともあります。
まず、ここでひとつなぜこのようなことがおこるか、その一つの理由として歯の神経について、お話しさせて下さい。
それは、歯の知覚をつかさどる神経についてです。
神経は、何のためにあるのかというと、何かを感じるためですよね。通常わたしたちの外部に対する感覚は、「痛い」、というだけでなく、「熱い」、「冷たい」、「押されている」などがあります。ところが歯は、冷たくても、暑くても「しみる」という感覚しかありません。そしてそれが強いと、「痛い」となるわけです。極端な表現ですが、外部からの刺激を「痛い」という信号でしか、脳に送れないのが歯の特徴なのです。
何らかの問題で、歯の神経が過敏になると、歯に対する刺激(たとえそれが不適切な刺激でなくても)に対して、しみるという信号が、脳に送られてしまうのです。
ですから、何をしてもしみるという状態になるのです。
症状からの一つの目安ですが、はじめは冷たいものだけにしみるようになり、次にそこの歯にブラシをあてるとしみるようになります。そして、最終的に神経のダメージが大きくなると、温かいものに対してもしみるようになることが多いのです。
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前回、ひとつ大切なことをお話しするのを忘れていました。この番組に登場していた方の中で、自分の歯が一本もなく、すべてがインプラントで治療されている方に対して、歯面状態認識装置を使っていましたが、あれは全く意味のない行為です。なぜなら、インプラントは基本的にすべてが人工物であるため、虫歯には絶対ならないんです。つまり、無駄なことというか、視聴者に誤解を招く行為のような気がします。
もちろんインプラント治療を受けた方も、定期的なチェックを受けることはとても大切です。場合によっては、その頻度は、インプラント治療を受けていない人より増やした方が良い場合も多いくらいです。
今日は、この番組の冒頭で、日本人の成人の約
80%
が歯周病である。そして、歯周病になってしまうと癌になりやすく、がんの発症率が、14%も高いというデータが英国の研究機関で発表されたという表現がされていたことについてです。
まず、日本人の成人の約
80%
が歯周病であるというデータは歯科疾患実態調査と鋳物に基づいていると思われ、ある程度日本の国民の現状が反映されていると思われます。
そして、その次の歯周病になってしまうとがんの発症率が、14%も高いということですが、これは、実は大変難しい問題を含んでいると思うのです。英国の研究機関の発表は間違っていないと思うのですが、それは、統計学上のことであり、実際に、がんと歯周病の因果関係が、現在ではまだわからないのです。例えば、ちょっとストレートな表現ですが、歯周病にかかってしまっている人の多くは、日常生活で、不規則な部分があったり、健康感があまり高くない場合があります。そうするとがんを誘発するような生活をしている可能性が、高く歯周病とがんには直接的な因果関係(たとえば歯周病菌が癌を引き起こすというような)が、その生活習慣が同じように二つの病気の大きな誘因となっている場合もこのような統計学上のデータが出てしまうのです。もちろん生活習慣はとても大切なことですが、おそらく一般の方は、上記のような発表をみてしまうと、歯周病が直接的な原因でがんを誘発しているように思えてしまうのではないですか?
でも、現時点ではこの辺はまだ何もはっきりしていない段階だとおもいます。それなのに、こんな報道の仕方をすると、あたかも歯周病が癌を引き起こしてしまうように思えてしまいますよね。
ここ10年くらいの間に、欧米を中心に、歯周病と全身疾患の関係に注目がされているのです。その中には、かなり因果関係が、わかってきているものもあるようですが、まだまだ、研究調査が必要なものが多いと思います。体にとって大きなダメージになるような病気を引き起こす可能性があるから、歯周病を治しましょうというメッセージも最近は多く見られますが、これもどうなんでしょうね。歯周病はもともと、問題のある病気、それをしっかりと直すことは、全身の病気と関係がなくても大切なはずです。歯周病は、進行すると確実に歯を失ってしまいます。それは、皆さんにとって幸せなことではないはずです。そのことをちゃんと伝え患者さんと理解や信頼関係を深めて、歯周病を直していくことがまず第一なのではと思うのです。
誤解されている方は、少ないと思いますが、歯周病を治すことで確実に、がん、糖尿病、心臓血管疾患が防げるというわけでは決してないのです。
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たけしの本当は怖い家庭の医学で使われた、虫歯診断機は決して意味がないわけではありません。この番組でも表現されていましたが、この機械は歯面状態認識装置という日本語訳が正しいようで、虫歯を診断することはできないのですが、歯の表面の状態をある程度認識できるのです。重要なことはこの装置から出る光を歯の面に垂直に当てる必要があるため、歯の全周で診断することはほとんど不可能なのです。この番組の表現だと歯科医師が見てもわからない所の虫歯が発見できるような表現をされていますが、いかがなものでしょいうかね。それから、診断装置に求められる条件としての、精度、再現性、信頼性の面ではまだまだな部分もあります。
しかし、この装置も使い方次第では有用です。例えば、初期虫歯があることを理解して頂くためのツールとして用い、初期虫歯のコントロールの指標に用いることです。初期虫歯は、本人の自覚はほとんどありません。しかし、現在では多くの初期虫歯が、進行を防ぐことができます。そのためには、本人の自覚と協力が必要になります。その時、この装置は、歯の表面の状態を数値で表してくれるので、その数値をもとに、まず、ご本人には自覚がなくても初期の虫歯があることの認識の手助けとしては有用だと思います。また、多少再現性には劣りますが、その数値がある程度期間をあけた時に、変化がないか調べることで、進行の有無を判断できます。
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昨日、最終警告、たけしの本当は怖い家庭の医学で、歯科の特集がありました。このような番組があると歯科に関心が向くということではとてもうれしいですが、テレビという媒体の常で、どうしても誇張されてしまったり、不適切な表現になってしまうことがありますね。

今回の報道でも、少し気になる事がありましたのでご報告します。

この番組で取り上げられていた、虫歯診断器についてですが、あたかも万能なように表現されていましたが、これは残念ながら間違いです。この機械は当院にもありますが、これで示される数値は、再現性に乏しいこともあり、全ての歯の面でチェックできるわけではないのです。厳しい言い方になりますが、診断の精度は決して高いものではありません。

虫歯学の世界的な権威たちも、この機械は診断の補助にはなる可能性はあるが、これだけには頼ってはいけないというのが共通認識です。

なぜ、この機械がこのようにあたかも万能なもののように取り上げられちゃうんでしょうね?

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前回は、窒息等の事故を引き起こす可能性のある食品についてでした。
こんにゃく
入り
ゼリーよりものどに詰まって死亡した件数が多い食べ物が、以外にも日常で頻繁に食べているものに多くありました。では、このような食品=危険な食品といってよいのでしょうか?
例えば、今回の「「こんにゃく入りゼリー」の事故の場合、冷やして食べる食べ方が窒息の一つの要因になるとされているそうです。
今回の報道の中での発言はこのようなデータをよく調べたうえで、こんにゃく入りゼリーの問題を解決することが大切なのではないでしょうか?

報道は、人を躍らせるものではなく、人に正確に伝え、参考にしてもらう為のものなのではないでしょうか。そして、政治家の単なる独りよがりのパフォーマンスや、責任逃れで、真実が捻じ曲げられるようなことがあってはいけないと思います。問題を解決する事とはそんなに簡単なことではないはずです。

また、このような不幸な事件を受けて、私たち、歯科医療関係者は、口腔という器官を守ることが使命であり、口腔の機能の一つに食というものがあるわけで、皆さんが安全に、楽しく、そしておいしくものを召し上がっていただくために何ができるかを日々考えていかなくてはいけませんね。

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